テキスト復習チェック・民法5-2

58 各共有者は、共有物の上に持分権という権利を有するが、これを譲渡するときは、他の共有者の承諾を得なければならない。

58 誤り 各共有者は、共有物の上に所有権の一種として持分権という権利を有する。各共有者は、この持分権を自由に処分することができる。つまり、持分権の譲渡につき他の共有者の承諾を要しない。


59 共有者の一人が持分を放棄したとき、その持分は、国庫に帰属する。

59 誤り 共有者の一人が、持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属する。


60 共有者の一人が相続人等なくして死亡したときは、その持分は他の共有者に帰属し、特別縁故者に対する財産分与の対象とはならな。

60 誤り 共有者の一人が相続人等なくして死亡したときは、その持分は特別縁故者に対する財産分与の対象となり、この財産分与がされないときに他の共有者に帰属する。


61 面積100㎡の土地甲をABCが共有するとき、Aの持分が10分の4であるとき、Aは土地甲の40㎡の部分を使用することはできるだけで、土地甲全部を使用することはできない。

61 誤り 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。よって、Aは、その持分の割合にかかわらず土地甲の全部を使用することができる。ただ、ABは、持分に応じて土地甲の全部を使用することになる。たとえば、1年のうち、10分の7の期間はAが土地甲を全部使用し、10分の3の期間はBが土地甲を全部使用するということになる。


62 各共有者が共有物をどうのように使用するかは共有物の管理に関する事項といえ、持分の価格に従い過半数で定めることができる。

62 正しい 各共有者による共有物の使用は、共有物の管理に関する事項であり、持分の価格に従い過半数で定めることができる。


63 他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて現に共有物を独占する共有者に対して、他の共有者は、当然に共有物の明渡しを請求することができる。

63 誤り 他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて現に共有物を独占する共有者に対して、他の共有者は、当然には共有物の明渡しを請求することができない。明渡し請求をする他の共有者は、その理由を明らかにする必要がある。


64 共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者に対し、他の共有者は、当然に共有物の明渡しを請求することができる。

64 誤り 共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者に対し、他の共有者は、当然には共有物の明渡しを請求することができない。


65 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決するが、日常的な修繕などの保存行為は各共有者が単独ですることができる。

65 正しい 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。日常的な修繕などの保存行為は共有物の管理にあたるが、各共有者が単独で行うことができる。


66 共有である建物に係る3年以下又は山林以外の土地に係る5年以下の賃貸借契約の締結及びその解除は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。

66 正しい 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。共有である建物に係る3年以下又は山林以外の土地に係る5年以下の賃貸借契約の締結、いわゆる短期賃貸借契約の締結は共有物の管理に関する事項であり、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。また、共有物の賃貸借契約の解除も共有物の管理に関する事項であり、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。


67 共有である建物に係る3年叉は山林以外の土地に係る5年を超える賃貸借契約の締結及びその解除は区分所有者全員の同意により決する。

67 誤り 共有である建物に係る3年叉は山林以外の土地に係る5年を超える賃貸借契約、いわゆる長期賃貸借契約の締結は共有物の効用の著しい変更といえ、共有者全員の同意により決する。しかし、その長期賃貸借契約の解除は、利用行為にあたり各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。


68 共有物の賃貸借契約の解除は、共有者全員の同を要する。

68 誤り 共有物の賃貸借契約の解除は、管理に関する事項であり、持分の価格に従いその過半数で決する。


69 共有物の管理者を選任又は解任するには、共有者全員の同意が必要である。

69 誤り 共有物の管理者を選任又は解任は共有物の管理に関する事項として、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。


70 共有物の共有物を変更しない範囲で収益をはかる行為、いわゆる利用行為又は共有物の利用価値若しくは経済価値の増加をはかる行為で、変更の程度に達しないものいわゆる改良行為は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。

70 正しい 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。共有物の共有物を変更しない範囲で収益をはかる行為、いわゆる利用行為又は共有物の利用価値若しくは経済価値の増加をはかる行為で、変更の程度に達しないものいわゆる改良行為は、共有物の管理に関する事項として各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。


71 共有物の変更で形状又は効用の著しい変更を伴わないものは、各共有者が単独で行うことができるが、共有物の変更で形状又は効用の著しい変更を伴うものは、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。

71 誤り 共有物の変更で形状又は効用の著しい変更を伴わないものは、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。共有物の変更で形状又は効用の著しい変更を伴うものは、共有者全員の同意が必要である。


72 第三者が、共有者による共有物の使用を妨害するときは、各共有者は、単独で、共有物全部に対する妨害の除去を請求することができる。一方、第三者が共有物の占有を奪っている場合は、各共有者は、その持分の割合だけの占有の返還を請求できるに過ぎず、単独で、自分に共有物全部の引渡しを請求することはできない。

72 誤り 第三者が、共有者による共有物の使用を妨害するときは、各共有者は、単独で、共有物全部に対する妨害の除去を請求することができる。第三者が共有物の占有を奪っている場合は、各共有者は、その持分の割合だけの占有の返還を請求できるほか、単独で、自分に共有物全部の引渡しを請求することもできる。


73 ABCが持分平等で共有していた建物甲をDが放火し、1,500万円の損害が発生した。Aは、Dに対し1,500万円の損害賠償請求をすることはできず、500万円の損害賠償を請求することができるだけである。

73 正しい 共有物が損害賠償請求権のような可分なものに形を変えた場合、各共有者は持分の範囲を超えて請求することはできない。よって、建物甲が1,500万円の損害賠償請求権という可分なものに形を変えた場合、A持分である3分の1に相当する500万円についてだけDに損害賠償として請求することができる。


74 共有者の一部を知ることができず又はその所在を知ることができないときは、他の共有者全員の同意により、この一部の共有者がいないものとして、他の各共有者の持分の価格に従いその過半数で共有物の管理に関する事項について決することができる。

74 誤り 共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従いその過半数で決する。共有者が他の共有者を知ることができず又はその所在を知ることができないときは、他の共有者以外の共有者の請求により、裁判所は、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。この裁判を経て、他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することになる。他の共有者全員の同意により、他の各共有者の持分の価格に従いその過半数で共有物の管理に関する事項について決することができるわけではない。


75 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき、裁判所は、当該管理に関する事項を決定することができる。

75 誤り 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき、他の共有者以外の共有者の請求により、裁判所は、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。裁判所が当該管理に関する事項を決定するのではない。


76 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、共有物に変更を加える許可を与える裁判をすることができる。

76 誤り 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。共有物に変更を加える許可を与えるものではない。


77 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有物の変更については、それが形状又は効用の著しい変更を伴うものか否かを問わず、共有者の全員の同意を得なければすることができない。

77 誤り 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)を加えることができない。よって、管理者は、形状又は効用の著しい変更を伴わないもの、すなわち軽微変更については、共有者の全員の同意を得ることなくすることができるところから、形状又は効用の著しい変更を伴うものか否かを問わず、共有者の全員の同意を得なければすることができないということはできない。


78 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、管理者に共有物に変更を加えることの許可を与える裁判をすることができる。

78 誤り 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。共有物に変更を加えることの許可を与える裁判をするものではない。


79 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。これに違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

79 正しい 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。これに違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。


80 各共有者は、持分の割合に応じ、管理の費用の支払義務を負う。この義務を履行しない共有者に対し、他の共有者は相当の期間を定めて催告し、その期間内に支払わないときは、他の共有者は、相当の償金を支払って、その者の持分を取得することができる。

80 誤り 各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払う義務を負う。共有者が一年以内にこの管理費用支払い義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができる。相当の期間を定めて催告し、その期間内に支払わないときにその者の持分を取得することができるというものではない。


81 ABCが共有する建物甲があり、AがBの負担すべき管理費用を立て替え、Bに対し立替費用返還債権を有するとき、Bがその持分をDに譲渡すれば、Aは、Dに対しBに対する立替費用返還債権の履行を請求することができる。

81 正しい 共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができる。ここより、Aは、Bに対する立替費用返還債権につき、Bの特定承継人であるDに対しその履行を請求することができる。


82 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げないが、この契約は更新することができない。

82 誤り 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。この契約は、更新することができるが、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。


83 共有物の分割は共有者の協議によって行うことができるが、共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

83 正しい 共有物の分割は、共有者の協議によって行うことができる。共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。


84 共有物について権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。

84 正しい 共有物について抵当権や賃借権等の権利を有する者及び各共有者の債権者は、自己の費用で、分割に参加することができる。


85 共有物の分割の請求を受けた裁判所は、共有物の現物を分割する方法又は共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法により、共有物の分割を命ずることができるが、この方法により分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

85 正しい 裁判所は、共有物の現物を分割する方法(現物分割)又は共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法(価格賠償)により、共有物の分割を命ずることができる。この方法により分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命じ、その代金を分割させることができる(代金分割)。


86 不動産又は動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。

86 誤り 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。この所在等不明共有者の持分取得の裁判は、不動産の共有に関するものであり、動産の共有については適用がない。


87 ABCDが共有する土地甲において、Dの所在を知ることができないとき、Aは単独で、Dの持分を取得する裁判を請求することができ、裁判所はDの持分をAに取得させる裁判をする場合がある。このとき、Dは、Aに対し、Aが取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。

87 正しい 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(所在等不明共有者)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる(一定の場合を除く)。この裁判により共有者が所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。ここより、Aは単独で、Dの持分を取得する裁判を請求することができ、これによりAがDの持分を取得したとき、Dは、Aに対し、Aが取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。


88 ABCDが共有する土地甲において、Dの所在を知ることができないとき、Aは、Dの持分をEに譲渡する権限を取得する裁判を請求することができ、裁判所はその権限をAに付与する旨の裁判をすることができる。これにより、Aは、Dの持分をEに譲渡し、土地甲はABCEの共有となる。

88 誤り 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる(一定の場合を除く)。ここより、Aは、ABC全員がEに対しその持分を譲渡する場合に限りDの持分をEに譲渡する権限を取得する。よって、この権限によりDの持分を譲渡したときは、ABCの持分もEに譲渡しているはずであり、土地甲はEの単独所有となる。Dの持分のEへの譲渡により、ABCEの共有となるものではない。


89 ABCDが持分平等で共有する土地甲(時価4,000万円)において、Dの所在を知ることができないとき、Aが裁判によりDの持分をEに譲渡する権限を取得し、ABCD全員の持分がEに譲渡されたとき、DはAに対し1,000万円の支払を請求することができる。

89 正しい 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(所在等不明共有者)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。この裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。ここより、裁判により土地甲に係るDの持分を譲渡する権限を取得したAが、ABCの持分の譲渡に伴いDの持分もEに譲渡したとき、土地甲の時価4,000万円についてDの持分に相当する1,000万円の支払をAに請求することができる。


90 裁判所は、所有者不明土地管理命令として、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地について、必要があると認めるときは、市町村長の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分をすることができる。同様のものが、建物についても所有者不明建物管理命令としてある。

90 誤り 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分をすることができる。所有者不明土地管理命令の請求は、市町村長ではなく、利害関係人が行う。これと同様のものが、建物については、所有者不明建物管理命令としてある。


91 所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地にある動産に及ぶが、当該土地の上にある建物には及ばない。また、所有者不明建物管理命令の効力は、建物にある動産には及ぶが、建物の敷地に関する権利には及ばない。

91 誤り 所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地にある動産に及ぶ。しかし、当該土地上の建物には及ばない。一方、所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物にある動産のほか、当該建物を所有し又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利に及ぶ。


92 裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならず、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。

92 正しい 裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならない。また、裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。


93 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地を処分する権利は有しないが、対象とされた土地の管理をする権利は所有者不明土地管理人に専属する。また、所有者不明建物管理人も所有者不明建物管理命令の対象とされた建物を処分する権利は有しないが、対象とされた建物の管理をする権利は所有者不明建物管理人に専属する。

93 誤り 所有者不明土地管理命令の対象とされた土地の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。そして、所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の管理及び処分をする権利も、所有者不明建物管理人に専属する。


94 所有者不明土地管理人は、保存行為又は所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為であれば、裁判所の許可を得ることなく行うことができる。

94 正しい 所有者不明土地等の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。ただ、保存行為及び所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ここから、保存行為又は所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為であれば、裁判所の許可を得ることなく行うことができる。


95 所有者不明建物管理人が保存行為及び所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。

95 正しい 所有者不明建物管理人が保存行為及び所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。


96 裁判所は、いつでも所有者不明土地管理人又は所有者不明建物管理人を解任することができる。

96 誤り 所有者不明土地管理人又は所有者不明建物管理人がその任務に違反して所有者不明土地等又は所有者不明建物等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人を解任することができる。いつでも解任できるわけではない。


97 所有者不明土地管理人又は所有者不明建物管理人は、いつでも辞任することができる。

97 誤り 所有者不明土地管理人又は所有者不明建物管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。いつでも辞任することができるわけではない。


98 裁判所は、所有者による土地又は建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地又は当該建物を対象として、管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人による管理を命ずる処分をすることができる。

98 正しい 裁判所は、所有者による土地又は建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地又は当該建物を対象として、管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人による管理を命ずる処分(管理不全土地管理命令又は管理不全建物管理命令)をすることができる。


99 A所有の土地甲について管理不全土地管理命令が発せられたとき、その効力は、土地甲にある動産であれば、A以外の者が所有するものであっても及ぶ。

99 誤り 管理不全土地管理命令の効力は、当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地にある動産(当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。よって、命令の対象とされた土地の所有者以外の者が所有する動産には、管理不全土地管理命令の効力は及ばない。


100 Aの所有の建物甲について管理不全建物管理命令が発せられたとき、その効力は建物甲あるA所有の動産に限らず、及びAが有する建物甲を所有するための敷地の賃借権にも及ぶ。

100 正しい 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。よって、建物甲について管理不全建物管理命令の効力は、建物甲あるA所有の動産に限らず、及びAが有する建物甲を所有するための敷地の賃借権にも及ぶ。


101 裁判所は、管理不全建物管理命令又は管理不全建物管理命令をする場合には、利害関係人の請求があれば、管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人を選任することができる。

101 誤り 裁判所は、管理不全建物管理命令又は管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令又は管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人又は管理不全建物管理人を選任しなければならない。利害関係人の請求があれば、選任することができるというものではない。


102 管理不全建物管理命令又は管理不全建物管理命令の対象とされた土地又は建物の管理及び処分をする権利は、土地又は建物の所有者から移行し、管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人に専属する。

102 誤り 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人は、管理不全建物管理命令又は管理不全建物管理命令の対象とされた土地又は建物の管理及び処分をする権限を有する。ただ、土地又は建物の所有者から移行して専属するものではなく、土地又は建物の所有者は、なお管理及び処分をする権限を保持している。


103管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人が管理する土地又は建物について保存行為及び当該土地又は建物の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。このとき、許可がないことを知らなかった第三者に対しては、その知らなかったことにつき過失があっても、許可がないことをもって対抗することはできない。

103 誤り 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人は、管理する土地又は建物について保存行為及び当該土地又は建物の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為であれば裁判所の許可なしに行うことができるが、これらの行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。よって、善意有過失の第三者に対しては、許可がないことをもって対抗することができる。


104 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人が管理する土地又は建物の処分をするには裁判所の許可が必要となるが、裁判所は許可をするには、土地又は建物の所有者の同意がなければならない。

104 正しい 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人が管理する土地又は建物の処分について裁判所が許可をするには、その所有者の同意がなければならない。


105 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人がその任務に違反して管理不全土地又は管理不全建物に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、管理不全土地又は管理不全建物の所有者の請求により、管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人を解任することができる。

105 誤り 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人がその任務に違反して管理不全土地又は管理不全建物に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、管理不全土地又は管理不全建物の利害関係人の請求により、管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人を解任することができる。解任請求は、利害関係人がするのであり、土地又は建物の所有者ではない。


106 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人は、正当な事由があるときを除き、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

106 誤り 管理不全土地管理人又は管理不全建物管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。つまり、正当事由がある場合でも、辞任には裁判所の許可が必要となる。

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