テキスト復習チェック・民法5-1

1 物権は、民法が規定するもの以外のものを当事者が契約により創設することはできない。

1 正しい 民法は、物権として所有権、地上権、永小作権、地役権、入会権、留置権、先取特権、質権、抵当権、占有権の10種類を規定する。これ以外の物権を当事者は契約により創設することはできない。


2 物権の円満な物支配の状態が妨害され、又はそのおそれのある場合に、その相手方に対してあるべき物支配の状態の回復又は妨害の予防措置を求める請求権として物権的請求権がある。

2 正しい 物権的請求権は、物権の円満な物支配の状態が妨害され、又はそのおそれのある場合に、その相手方に対してあるべき物支配の状態の回復又は妨害の予防措置を求める請求権である。


3 不動産賃借権は、物権ではなく債権であるが、不動産の賃借人は、対抗要件を備えた場合において、その不動産の占有を第三者が妨害しているときはその第三者に対し妨害の停止の請求をすることができ、その不動産を第三者が占有しているときはその第三者に対し返還の請求をすることができる。

3 正しい 不動産賃借権は、債権であるが、対抗要件を備えたときは、物権的妨害排除請求権又は物権的返還請求権と同様の請求権が認められている。すなわち、不動産の占有を第三者が妨害しているときの妨害排除請求と、不動産を第三者が占有しているときの返還請求である。


4 当事者の意思表示により、物権を設定又は移転することができる。

4 正しい 物権の設定又は移転は、当事者の意思表示によりすることができる。


5 不動産の売買においては、契約を締結した時点で売主から買主に当該不動産の所有権は移転し、当事者はこれと異なる時点に所有権が移転する旨を定めることはできない。

5 誤り 不動産の売買においては、契約を締結した時点で売主から買主に当該不動産の所有権は移転するのが原則であるが、当事者はこれと異なる時点に所有権が移転する旨を定めることができる。


6 農地の売買では、売買契約を締結しただけでは所有権は移転せず、農地法の許可があって所有権は移転する。

6 正しい 農地法3条又は5条は、農地売買における所有権の移転は、農地法の許可があったときと規定する。


7 不動産の物権変動を当事者以外の第三者に対抗するためには、登記をしておくことが必要である。

7 正しい 不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない。


8 Aが所有する土地甲をBとCに二重に譲渡した。BC双方が登記を備えていないときは、先に契約した方が他方に対し土地甲の所有権を主張することができる。

8 誤り 不動産の二重譲渡にあっては、先に対抗要件である登記を備えた方が他方に対し所有権の取得を主張することができる。よって、BC双方が登記を備えていないときは、どちらからも他方に対し土地甲の所有権の取得を主張することはできない。先に契約した方が他方に対し所有権の取得を主張することができるというものではない。


9 Aが所有する土地甲をBとCに二重に譲渡した。Bが登記を備えていても、Cが代金を支払い、土地甲の引渡しを受けていれば、CはBに対し土地甲の所有権の取得を主張することができる。

9 誤り 不動産の二重譲渡にあっては、先に対抗要件である登記を備えた方が他方に対し所有権の取得を主張することができる。よって、Cは、代金を支払い、土地甲の引渡しを受けていても、登記を備えていない以上、土地甲の所有権の取得をBに主張することはできない。Bは、代金を支払っておらず、引渡しを受けていなくても、登記を備えているところから、土地甲の所有権の取得をCに主張することができる。


10 Aが所有する土地甲をBに譲渡した後に死亡したとき、Bは、Aの相続人Cに対しては登記なしに土地甲の所有権取得を主張することができ、Cから土地甲を譲受したDに対しても登記なしに土地甲の所有権取得を主張することができる。

10 誤り 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。当事者及びその相続人は、ここにいう第三者に該当しない。よって、Bは、Aの相続人Cに対しては登記なしに土地甲の所有権取得を主張することができる。しかし、被相続人からの譲受人と相続人からの譲受人は、二重譲渡の関係として処理する。よって、登記を備えていなければ、他方に対し所有権の取得を主張することができない。ここより、BとDは二重譲渡の関係に立ち、Bは登記なしにDに土地甲の所有権取得を主張することができない。


11 土地甲がAからB、BからCへと譲渡され、登記がAのもとにとどまっているとき、Cは、土地甲の所有権の取得をA及びBに対して主張することはできない。

11 誤り 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。当事者(前主)及び前々主は、ここにいう第三者にあたらない。よって、Cは、登記がなくても、前主B及び前々主Aに対し土地甲の所有権取得を主張することができる。


12 AがBから建物甲を購入し、登記をしていない間に、Cが建物甲に放火した。Aは、登記をしていなくても、Cに対し不法行為を理由に損害賠償の請求をすることができる。

12 正しい 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。ここにいう第三者に不法行為者は該当しない。よって、Aは、登記をしていなくても、不法行為者Cに対し損害賠償の請求をすることができる。言い換えれば、Cは、Aが登記がないことを理由に損害賠償の請求を拒否することはできない。


13 AがBから購入した建物甲をCが不法占拠している。Aは、登記なしにCに対し建物甲の明渡しを請求することができる。

13 正しい 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。ここにいう第三者に不法占拠者は該当しない。よって、Aは、登記をしていなくても、不法占拠者Cに対し建物甲の明渡しを請求することができる。言い換えれば、Cは、Aが登記がないことを理由に明渡しを拒否することはできない。


14 Aが所有する土地甲について、Bが登記申請情報を偽造し、B名義の登記をしている。Aから土地甲を購入したCは、Bに対し土地甲の所有権取得を主張することができる。

14 正しい 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。ここにいう第三者に無権利者は該当しない。Bは、登記の名義人であるが、無権利者である。よって、Cは、登記なしにBに対し土地甲の所有権取得を主張することができる。


15 AがBからB所有の土地甲を購入したことを知りながらCは、Aに高値で売りつける目的でBから土地甲を二重に購入し登記をした。Aは、Cに対し土地甲の所有権取得を主張することはできない。

15 誤り 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。ここにいう第三者に悪意の第三者も該当する。ただ、登記がないことを主張することが、信義則に反すると認められるような悪意の第三者、いわゆる背信的悪意者は第三者に該当しない。Cは、Aに高値で売りつける目的で土地甲を二重に購入したものであり、背信的悪意者に該当する。よって、Aは、Cに対し登記をしていなくても、土地甲の所有権の取得を主張することができる。


16 AがBからB所有の土地甲を購入した後、Cが土地甲を二重に購入し登記をした後、さらにDに譲渡し登記を移転した。Cがいわゆる背信的悪意者に該当するときは、Dが背信的悪意者に該当しない場合でも、Aは、Dに対し土地甲の所有権取得を主張することができる。

16 誤り 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。背信的悪意者はここにいう第三者に該当しない。しかし、この背信的悪意者からの転得者に対しては、転得者自身が背信的悪意者に該当しない限り、登記がなければ物権変動を対抗することができない。ここより、Aは、Dが背信的悪意者に該当しない場合であれば、Dに対し土地甲の所有権取得を主張することができない。


17 AがBからB所有の土地甲を購入した後、Cが土地甲を二重に購入し登記をした。CがすでにBが土地甲を購入していたことを知っていた場合でも、いわゆる背信的悪意者に該当しない単なる悪意者であるときは、Aは、Cに対し土地甲の所有権取得を主張することができない。

17 正しい 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。ここにいう第三者に単なる悪意の第三者も該当する。よって、Aは、Cに対し土地甲の所有権取得を主張することができない。


18 AがBからB所有の土地甲を購入した後、Bが土地甲をCに賃貸した。Cの賃借権は物権ではなく債権であるところから、Aは登記なしにCの土地賃借権を否定し、Cの賃借権の付かない土地甲の取得をCに主張することができる。

18 誤り 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。ここにいう第三者に賃借権者も該当する。よって、賃借権は債権であるが、Aは登記なしにCの土地賃借権を否定し、Cの賃借権の付かない土地甲の取得をCに主張することはできない。


19 Aは所有する土地甲にBのために賃借権を設定し登記した後、土地甲をCに譲渡した。CはBの賃借権の付いた土地甲を取得することになるが、Cが賃貸人の地位に基づきBに賃料を請求するためには、土地甲の所有権移転登記をしておく必要がある。

19 正しい 対抗要件を備えた賃借権のある土地を取得した者は、賃借権付きの土地を取得したことになる。このとき、賃貸人の地位が、これを留保した場合を除き、土地譲渡人から譲受人に移転する。ただ、譲受人がこの賃貸人の地位の移転を賃借人に対抗するためには、土地所有権の移転登記をする必要がある。ここより、Cの土地甲の譲受により賃貸人の地位がCに移転するが、Cが賃貸人の地位の移転をBに対抗し、Bに賃料を請求するためには、土地甲の所有権移転登記をしておく必要がある。


20 Aは所有する土地甲をBに譲渡した後、土地甲にCのために抵当権を設定した。Bの所有権移転登記がCの抵当権設定登記よりも先であるときは、Cは抵当権の取得をBに対抗することができない。一方、Cの抵当権設定登記がBの所有権移転登記よりも先であるときは、Bは土地甲の所有権を取得することができない。

20 誤り 不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者に対抗することができない。所有権取得者及び抵当権者は、ここにいう第三者に該当する。つまり、所有権取得者は、登記をしなければ抵当権者に所有権取得を対抗することができず、抵当権者は、登記をしなければ所有権取得者に抵当権を対抗することができない。つまり、先に登記をした方が、他方に対し、当該権利の取得を主張することができる。ここから、Bの所有権移転登記がCの抵当権設定登記よりも先であるときは、Cは抵当権の取得をBに対抗することができない。つまり、Bは、Cの抵当権の付かない土地甲の所有権の取得をCに主張することができる。一方、Cの抵当権設定登記がBの所有権移転登記よりも先であるときは、Cは抵当権の取得をBに主張することができる。ただ、これは、CがBの取得した土地甲に自己の抵当権が存することを主張することができるだけであり、Bによる土地甲の所有権の取得を否定することができるというものではない。よって、Cの抵当権設定登記が先であるときであっても、Bは土地甲の所有権を取得することができないというものではない。


21 A所有の土地甲がAからB、BからCに売買され引渡しがなされた後、AがBの詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した。Cが詐欺の事実を知らず、それにつき無過失であった場合でも、Cが登記の移転を受けていなければ、Aは、Cに対し土地甲の返還を請求することができる。

21 誤り 詐欺による意思表示の取消しは、詐欺の事実につき善意無過失の第三者に対抗することができない。ここに第三者とは、取消し前に現れた第三者をいうが、保護されるためには」善意無過失であれば足り、登記を備えている必要はない。よって、取消し前の第三者Cが詐欺の事実につき善意無過失であれば、Cが登記の移転を受けていなくても、Aは、Cに対し土地甲の返還を請求することはできない。


22 AがBと締結した所有する土地甲の売買契約を詐欺を理由に取り消した後、Bが土地甲をCに譲渡し、登記を移転した。Cが詐欺の事実を知っていたときは、Aは、土地甲の返還をCに請求することができる。

22 誤り 詐欺を理由に不動産の譲渡を取り消した者は、その取消し後に生じた当該不動産の譲受人である第三者に対し当該不動産の所有権を主張するためには、登記を取り戻しておく必要がある。このとき、第三者が詐欺につき悪意であっても、やはり登記なしには所有権を主張することはできない。ここより、取消し後の第三者Cが詐欺の事実を知っていたとしても、Cが登記を備えている以上、Aは、土地甲の返還をCに請求することはできない。


23 A所有の土地甲につき、Bによる取得時効が完成した。Bは、時効完成前にAより土地甲を買い受けたCに対しては、登記がなければ土地甲の時効取得を主張することができないが、時効完成後にCが土地甲をAより買い受けた場合であれば、Bは登記なしにCに対し土地甲の時効取得を主張することができる。

23 誤り 不動産の時効取得者は、時効完成前の第三者に対しては登記なしに時効取得を主張することができるが、時効完成後の第三者に対しては登記がなければ時効取得を主張することはできない。よって、Bは、時効完成前に土地甲を買い受けたCに対しては登記がなくても土地甲の時効取得を主張することができる。しかし、時効完成後にCが土地甲を買い受けた場合であれば、Bは登記なしにCに対し土地甲の時効取得を主張することはできない。


24 A所有の土地甲がAからB、BからCに売買され引渡しがなされた後、AがBの債務不履行を理由にAB間の売買契約の解除をした。CがBの債務不履行の事実を知っていた場合でも、登記の移転を受けていれば、Aは、Cに対し土地甲の返還を請求することはできない。

24 正しい 不動産の売主が当該不動産の売買契約を買主の債務不履行を理由に解除したときは、当該不動産の所有権は当然に売主に復帰するが、第三者の権利を害することはできない。ここに第三者とは解除前に現れた第三者をいう。このとき、第三者は買主の債務不履行の事実につき悪意であっても保護される半面、登記を備えていなければ保護されない。ここより、AがAB間の売買契約の解除をしたとき、CがBの債務不履行の事実につき悪意であっても、登記の移転受けていれば、Aは、Cに対し土地甲の返還を請求することはできない。


25 Aが所有する土地甲についてBと締結した売買契約をBの債務不履行を理由に解除した後、Bが土地甲をCに譲渡した。Cが解除の事実を知っていたとしても、登記の移転を受けていれば、Aは、Cに対し土地甲の返還を請求することはできない。

25 正しい 不動産の売買契約の解除をした売主と解除後の第三者は、二重譲渡の関係として処理する。ここより、解除した売主は、登記を備えていなければ、解除後の第三者がたとえ解除の事実につき悪意であっても、所有権の復帰を主張することはできない。よって、解除後の第三者Cが解除の事実を知っていたとしても、登記の移転を受けていれば、Aは、Cに対し土地甲の返還を請求することはできない。


26 A所有の土地甲をBCが共同相続したが、Bが単独で相続した旨の虚偽の登記をなし、土地甲につき単独で所有権を有するとしてDに譲渡した。Dが土地甲の所有権移転登記を得ていたとしても、Cは土地甲に係る自己の相続分を主張することができ、土地甲はDとCの共有となる。

26 正しい 共同相続人の1人が不動産について単独所有である旨の登記をし、これに基づいて第三者に譲渡しても、他の共同相続人は自己の相続分について、登記なくして、第三者に対抗できる。ここより第三者Dが土地甲の所有権移転登記を得ていたとしても、Cは土地甲に係る自己の相続分を主張することができ、土地甲はDとCの共有となる。


27 共同相続した被相続人の子ABが、遺産である土地甲につき、Bの法定相続分4分の2のうち4分の1をAに譲渡し、Aの持分を4分の3,Bの持分を4分の1とする遺産分割をした。その後、Bが自己の持分は4分の2であるとし、これをCに譲渡した。Aは、Cが取得したのはBの持分4分の1のみであり、自己の持分が4分の3であることを登記なしにCに主張することができる。

27 誤り 遺産分割により、法定相続分を超える権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、第三者に対し、法定相続分を超える部分を対抗できない。ここより、Aは、Bからその持分4分の1を遺産分割により取得し、Aの持分が4分の3である旨の登記をしなければ、自己の持分が4分の3であることをCに主張することができない。


28 電力会社がA所有の土地甲の上部空間にAに無断で電線を通しても、また鉄道会社がAの許可なく土地甲の地下にトンネルを掘っても、Aの土地甲の所有権を侵害するものではない。

28 誤り 土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。ここより、電力会社がA所有の土地甲の上部空間にAに無断で電線を通すこと、また鉄道会社がAの許可なく土地甲の地下にトンネルを掘ることは、Aの土地甲の所有権の侵害となる。


29 境界若しくはその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去若しくは修繕の目的のため又は境界標の調査若しくは境界に関する測量の目的のため必要な範囲内で、隣地所有者の承諾なく隣地を使用することができる。このとき、住家に立ち入ることが必要な場合には、その居住者の承諾なく立ち入ることができる。

29 誤り 境界若しくはその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去若しくは修繕の目的のため又は境界標の調査若しくは境界に関する測量の目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。これにつき、隣地所有者の承諾はいらない。しかし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。


30 相隣関係の隣地使用権においては、使用の日時、場所及び方法について隣地の所有者及び隣地を現に使用している者のために損害が最も少ないものを選ばなければならず、こうして選んだ方法等により隣地を使用したことにより隣地所有者等に損害が生じても、隣地所有者等に償金を支払う必要はない。

30 誤り 隣地使用権においては、使用の日時、場所及び方法について隣地の所有者及び隣地を現に使用している者のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。ただ、こうして選んだ方法等により隣地を使用した場合であっても、隣地所有者等に損害が生ずれば、隣地所有者等に償金を支払う必要がある。


31 相隣関係の隣地使用権により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、通知を要しない。

31 誤り 隣地使用権により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。通知が不要となるものではない。


32 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、当該土地の登記をしている場合に限り、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。

32 誤り 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。このとき、土地に係る登記をしていなくても、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。


33 分割又は一部譲渡によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地又は一部譲渡された残部の土地のみを通行することができる。ただし、償金は支払わなければならない。

33 誤り 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地又は一部譲渡された残部の土地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。


34 他の土地に囲まれて公道に通じない土地に限らず、池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができない土地又は崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地であっても、公道に至るため他の土地を通行することができる。

34 正しい 他の土地に囲まれて公道に通じない土地、いわゆる袋地に限らず、池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができない土地又は崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地、いわゆる準袋地であっても、公道に至るため他の土地を通行することができる。


35 相隣関係における隣地通行権においては、通行の場所及び方法について隣地通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならないが、必要があるときは、通路を開設することができる。

35 正しい 隣地通行権における通行の場所及び方法は、通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。そして、通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。


36 相隣関係として隣地通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、1年ごとにその償金を支払うことができる。

36 正しい 隣地通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、1年ごとにその償金を支払うことができる。


37 土地の所有者は、他人が所有する土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置することができるだけでなく、他人が所有する設備を使用することもできる。そして、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。

37 正しい 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。つまり、設備設置権のほか、設備使用権も認められている。さらに、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することも認められている。つまり土地使用権も認められている。


38 相隣関係として他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置し、又は他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用するときは、その設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

38 正しい 相隣関係として他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置し、又は他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用するときは、その設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。


39 相隣関係として他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置し、又は他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地又は他人が所有する設備の所有者に限らず、他の土地を現に使用している者にも通知しなければならない。

39 正しい 相隣関係として他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置し、又は他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地又は他人が所有する設備の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。


40 相隣関係として他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置する者は、その土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、1年ごとにその償金を支払うことができる。

40 正しい 相隣関係として他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置する者は、その土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、1年ごとにその償金を支払うことができる。


41 相隣関係として他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。

41 正しい 相隣関係として他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。


42 相隣関係として他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用する者は、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を設備の所有者と等分して負担しなければならない。

42 誤り 相隣関係として他人が所有する水道水等の供給を受けるための設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。設備の所有者と等分して負担するものではない。


43 分割又は一部譲渡によって他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地又は一部譲渡された残部の土地のみに当該設備を設置することができる。ただ、当該設備の設置によりその土地に損害が生じたときは、償金を支払わなければならない。

43 誤り 分割又は一部譲渡によって他の土地に水道水等の供給を受けるための設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地又は一部譲渡された残部の土地のみに当該設備を設置することができる。このとき、設備の設置によりその土地に損害が生じたときでも、償金を支払う必要はない。


44 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。この場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は単独で、その枝を切り取ることができる。

44 正しい 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。切除を求められた竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、単独で、その枝を切り取ることができる。


45 土地の所有者が境界線を越える隣地の竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときは、土地の所有者自らその枝を切り取ることができる。

45 正しい 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合において、土地の所有者が竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき、土地の所有者は自らその枝を切り取ることができる。


46 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合において、竹木の所有者を知ることができず若しくはその所在を知ることができないとき又は急迫の事情があるときは、土地の所有者は、自らその枝を切り取ることはできないが、市町村長にその枝の切取りを請求することができる。

46 誤り 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合において、竹木の所有者を知ることができず若しくはその所在を知ることができないとき又は急迫の事情があるときは、土地の所有者は、自らその枝を切り取ることができる。


47 隣地の竹木の根が境界線を越える場合において、土地の所有者は、竹木の所有者に竹木の根を切除する旨の催告をすることなく、自らその根を切り取ることができる。

47 正しい 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。竹木の所有者に竹木の根を切除するよう催告する必要はない。


48 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。このとき、境界標の設置及び保存の費用はその土地の広狭に応じて分担し、測量の費用は相隣者が等しい割合で負担する。

48 誤り 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。このとき、境界標の設置及び保存の費用は相隣者が等しい割合で負担し、測量の費用はその土地の広狭に応じて分担する。


49 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。この囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。

49 正しい 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障、いわゆる目隠しを設けることができる。囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。


50 二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときにその境界に囲障を設けるにあたり当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2mのものでなければならない。

50 正しい 相隣関係として境界に囲障(目隠し)を設けるにあたり当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のものであって、かつ、高さ2mのものでなければならない。


51 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものとみなす。

51 誤り 境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。見做すものではない。


52 一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、相隣者の共有に属するものと推定されず、当該建物の所有者の所有に属する。

52 正しい 一棟の建物の一部を構成する境界線上の障壁については、相隣者の共有に属するものと推定されない。建物の一部を構成する障壁であるところから、当該建物の所有者の所有に属する。


53 高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが、低い建物の高さを超えるときは、その障壁のうち低い建物を超える部分については、相隣者の共有に属するものと推定されず、高い方の建物の所有者の所有に属する。ただし、防火壁については、相隣者の共有に属するものと推定される。

53 正しい 高さの異なる二棟の隣接する建物を隔てる障壁の高さが、低い建物の高さを超えるときは、その障壁のうち低い建物を超える部分については、相隣者の共有に属するものと推定されない。つまり、高い方の建物の所有者の所有に属する。ただし、防火障壁については、この限りでない。つまり、防火壁については、相隣者の共有に属するものと推定される。


54 相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。これにより高さを増した部分は、相隣者の共有に属する。

54 正しい 相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。これにより障壁の高さを増したときは、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属する。相隣者の共有とはならない。


55 相隣者の一人が共有の障壁の高さを増す工事をしたことで隣人が損害を受けた場合でも、その償金を請求することはできない。

55 誤り 相隣者の一人が共有の障壁の高さを増す工事をしたことで隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。


56 建物を築造するには、境界線から1m以上の距離を保たなければならず、これに違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から2年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

56 誤り 建物を築造するには、境界線から50㎝以上の距離を保たなければならない。これに違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。ただし、建築に着手した時から1年を経過し、又はその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。


57 境界線から50㎝未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。

57 誤り 境界線から1m未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。

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