テキスト復習チェック・民法4

1 占有の開始の時に、悪意又は善意有過失であったとしても、20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

1 正しい 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。この場合、占有の開始の時に、悪意であったか善意であったかを問わない。


2 占有の開始の時に善意であれば、それにつき過失の有無を問わず、10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 誤り 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。よって、占有の開始の時に善意であれば、それにつき過失の有無を問わないというものではない。


3 一筆の土地について、その全部を占有する場合にのみ当該土地を時効取得することができるのであり、一筆の土地の一部だけを占有しても、当該一部のみを時効取得することはできない。

3 誤り 一筆の土地の一部だけの時効取得も認められている。


4 賃貸借契約により占有を始めた場合であっても、20年間、平穏に、かつ、公然に占有を継続すれば、その所有権を取得する。

4 誤り 所有権を時効取得するには、所有の意思をもって占有しなければならない。賃貸借契約により占有を始めた場合は所有の意思をもった占有とはいえず、所有権を時効取得することはできない。


5 他人の土地を他人の土地とは知らず、かつ、その知らないことにつき過失なく所有の意思をもって占有を開始し、平穏に、かつ、公然と占有していたが、占有開始から3年目に当該土地が他人の所有する土地であることに気付いた場合であっても、引き続き7年間占有を継続することで、当該土地を時効取得することができる。

5 正しい 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。このとき、占有開始時に善意無過失であれば、その後、悪意に転じたとしても、占有開始から10年で所有権の時効が完成する。


6 Aは、他人の土地について、占有開始時は自ら占有していたが、その後、Bに賃貸したとき、A自身の占有開始時から20年を経過しても、当該土地を時効取得することはない。

6 誤り 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。賃貸し賃借人が占有する場合であっても、賃貸人は、賃借人を介して所有の意思により占有しているといえる。よって、Aは、Bに賃貸しても、自身の占有開始から20年で当該土地を時効取得することができる。


7 占有とは自己のためにする意思をもって物を所持することをいい、物の所有権者に限らず、賃借権者も賃借物の占有を有し、また盗人も盗品について占有を有する。

7 正しい 占有とは自己のためにする意思をもって物を所持することをいう。物の所持、すなわち物を支配する事実状態があれば、当該物についてどのような権利を有するかを問わず、また無権利者であっても占有が認められる。よって、所有権者に限らず、賃借権者も賃借物の占有を有し、また盗人も盗品について占有を有する。


8 家屋について占有としての所持があるといえるためには、その家屋の隣家に居住し、常に出入口を監視して容易に他人の侵入を制止できる状況にあればよく、錠をかけて鍵を所持し、又は標札貼紙等により自己の占有中である事実が第三者にもわかるようにしておくことまでは必要ない。

8 正しい 家屋の隣家に居住し、常に出入口を監視して容易に他人の侵入を制止できる状況にあるときは、その家屋を所持するものといえる。錠をかけて鍵を所持し、又は標札貼紙等により自己の占有中である事実が第三者にもわかるようにしておくことは、家屋の所持があると認められるための必要条件ではない。


9 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものとみなす。

9 誤り 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。みなすものではない。


10 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。

10 正しい 占有保持の訴えとは、占有者がその占有を妨害されたときに、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができるというものである。


11 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。

11 正しい 占有保全の訴えとは、占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときに、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができるというものである。


12 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。

12 正しい 占有回収の訴えとは、占有者がその占有を奪われたときは、その物の返還及び損害の賠償を請求することができるというものである。


13 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対しては、その承継人が侵奪の事実を知っていたときを除き、提起することができない。

13 正しい 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。


14 A所有の土地甲をBが悪意により所有の意思をもって占有を開始し、平穏かつ公然に5年間占有した時点で死亡し、善意無過失の相続人Cが占有を引き継ぎ、平穏かつ公然に占有したとき、Cは、相続から10年を経過した時点では土地甲の所有権の時効取得を主張することはできない。

14 誤り 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。ここより、Cは、自己の占有、すなわち占有開始時に善意無過失である占有を主張することができる。10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得するところから、Cは、自己の占有を主張することで、相続から10年を経過した時点では土地甲の所有権の時効取得を主張することができる。


15 A所有の土地甲をBが善意無過失により所有の意思をもって占有を開始し、平穏かつ公然に5年間占有した時点で死亡し、悪意の相続人Cが占有を引き継ぎ、平穏かつ公然に占有したとき、Cは、相続の開始から5年を経過した時点で土地甲の所有権の時効取得を主張することができる。

15 正しい 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。ここより、Cは、Bの占有の承継を主張することができる。この場合、占有の開始時に善意無過失であったことになる。10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得するところから、Cは、Bの占有を承継することで、Bの占有開始から10年、したがって、Bの占有期間5年と相続開始からの自己の占有期間5年を加えた時点で土地甲の所有権の時効取得を主張することができる。


16 A所有の土地甲をBが悪意により所有の意思をもって占有を開始し、平穏かつ公然に15年間占有した時点で死亡し、善意無過失の相続人Cが占有を引き継ぎ、平穏かつ公然に占有したとき、Cは、相続から10年を経過しなければ土地甲の所有権の時効取得を主張することはできない。

16 誤り 占有の開始の時に善意無過失であったときは、10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。また、占有開始時に悪意であっても、20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。そして、占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。ここより、Cは、自己の占有のみを主張することができるが、この場合、占有の開始時に善意無過失であるところから、相続開始から10年で所有権を時効取得する。一方、Cは、Bの占有の承継を主張することもできるが、前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継するところから、占有開始時に悪意であったことになり、Bの占有開始から20年で所有権を時効取得する。この場合、Bの占有期間が15年であるところから、相続開始から5年で所有権を時効取得することになる。以上より、Cは、相続から10年を経過しなくても、所有権を時効取得することができる。


17 所有権に限らず、地上権、地役権、不動産賃借権についても時効により取得することができ、時効期間は、所有権の取得時効と同様である。

17 正しい 地上権、地役権、不動産賃借権も、自己のためにする意思で、平穏かつ公然に一定期間権利を行使することによって時効取得できる。時効期間は、所有権の場合と同様に、占有開始時に悪意又は善意有過失であれば20年、占有開始時に善意無過失なら10年である。


18 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。

18 正しい 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。


19 通行地役権を時効取得するためには、通路の開設を要するが、要役地所有者以外の者が通路を開設した場合であってもよい。

19 誤り 地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。通行地役権を時効取得にあたり継続的に行使しているというためには、通路が開設されていることが必要である。このとき、通路の開設は、時効取得することになる要役地所有者によってなされることが必要である。


20 農地の賃借権を時効取得するためには、農地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されていることが必要であり、加えて農地の賃借権取得に必要とされる農地法の許可が必要である。

20 誤り 農地の賃借権を時効取得するためには、農地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されていることが必要である。しかし、農地法の許可は必要ではない。


21 一般の債権は、権利を行使することができることを知った時から10年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から20年間行使しないときに時効により消滅する。

21 誤り 一般の債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効により消滅する。


22 確定期限付債権及び不確定期限付債権は、期限が到来した時から10年間行使しないときに時効により消滅する。

22 正しい 債権は、権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効により消滅する。ここに権利を行使することができる時とは、確定期限付債権及び不確定期限付債権においては、期限が到来した時である。よって、確定期限付債権及び不確定期限付債権は、期限が到来した時から10年間行使しないときに時効により消滅する。


23 売買契約において代金債権の履行期の期限を定めなかったとき、当該売買契約を締結した時から10年間行使しないときに時効により消滅する。

23 正しい 期限の定めのない債権は、債権が成立した時から10年間行使しないときに時効により消滅する。売買契約において履行期の期限を定めなかった代金債権は期限の定めのない債権に該当する。よって、債権成立の時、すなわち売買契約が成立したときから10年間行使しないときに時効により消滅する。


24 債務不履行によって発生した損害賠償請求権は、権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときに時効により消滅するが、債務不履行によって発生した人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、権利を行使することができることを知った時から20年間行使しないときに時効により消滅する。

24 誤り 債務不履行によって発生した損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときに時効により消滅する。ただ、債務不履行によって発生した人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から20年間行使しないときに時効により消滅する。権利を行使することができることを知った時から20年間行使しないときに時効により消滅するものではない。


25 不法行為によって発生した損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときに時効により消滅するが、不法行為によって発生した人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権も、損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときに時効により消滅する。

25 正しい 不法行為によって発生した損害賠償請求権は、不法行為によって発生した人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権を含め、損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときに時効により消滅する。


26 10年より短い時効期間の定めがある債権は、確定判決により確定したときに限り10年の時効期間となり、裁判上の和解調書又は家事調停における調停調書等により確定しても時効期間は10年とはならない。

26 誤り 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。ここより、確定判決に限らず裁判上の和解調書又は家事調停における調停調書等により確定した場合でも、その時効期間は10年となる。


27 所有権が時効により消滅することはないが、地上権や地役権は権利を行使できる時から10年間行使しないときに時効により消滅する。

27 誤り 所有権が時効により消滅することはない。所有権及び債権以外の財産権は、権利を行使できる時から20年間行使しないときに時効により消滅する。権利を行使できる時から10年間行使しないときに時効により消滅するものではない。


28 裁判所は、時効による裁判をするにあたり、当事者による時効の援用を要しない。

28 誤り 裁判所は、当事者が時効を援用しなければ、時効による裁判をすることができない。


29 AのBに対する債務Xについて、Cが保証人、Dが連帯保証人になっている。債務Xについて消滅時効が完成したとき、Bのみならず、C及びDも時効を援用することができる。

29 正しい 主たる債務の消滅時効については、当事者である債務者のほか、保証人又は連帯保証人も時効を援用することができる。


30 Aは所有する土地甲に、BのCに対する債権Xについて一番抵当権を設定し、BのDに対する債権Yについて二番抵当権を設定した後、土地甲をEに譲渡した。Cの債権Xについて消滅時効が完成したとき、Bのほか、A及びEは時効を援用することができるが、Dは時効を援用することができない。

30 正しい 債権の債務者は、当事者として当該債権の消滅時効を援用することができる。物上保証人は、被担保債権の消滅時効を援用することができる。抵当不動産の第三取得者は、当該抵当不動産上の抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。しかし、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することはできない。Cの債権Xについて、Bは債務者、Aは物上保証人、Eは債権Xを被担保債権とする抵当権が設定された不動産の第三取得者である。よって、Bのほか、A及びEは時効を援用することができる。しかし、Dは、土地甲について、債権Xのための一番抵当権に劣後する二番抵当権者であり、先順位抵当権の被担保債権である債権Xの消滅時効を援用することはできない。


31 Aが所有する土地甲をBに譲渡する行為がAに対するCの債権Xについて詐害行為に該当するとき、Cの債権Xについて消滅時効が完成すれば、Bは時効を援用することができる。

31 正しい 詐害行為の受益者は、被保全債権の消滅時効を援用することができる。AのBに対する土地甲の譲渡がCの債権Xを被保全債権とする詐害行為に該当するとき、Bは詐害行為における受益者であり、被保全債権である債権Xの消滅時効を援用することができる。


32 Aは、土地甲に建物を所有し、これをBに賃貸している。土地甲がCの所有であり、Aにつき取得時効が完成しているとき、Bは土地甲についてのAの取得時効を援用することができる。

32 誤り 建物の賃借人は、当該建物の賃貸人による当該建物の敷地の取得時効を援用することはできない。よって、Bは、Aの土地甲の取得時効を援用することはできない。


33 時効の利益の放棄は、時効の完成後にはすることができるが、時効の完成前にはすることができない。

33 正しい 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。つまり、時効の利益の放棄は、時効完成前にすることはできず、時効完成後にしなければならない。


34 時効の援用権者としてABCがいる場合、Aが時効を援用すればB及びCも援用したことになるが、Aが時効の利益を放棄しても、B及びCは時効の利益を放棄したことにはならない。

34 誤り 時効の援用権者が複数いる場合、そのうちの1人が時効の援用又は時効利益の放棄をしても、その効果は他の援用権者には及ばない。ここから、Aが時効の援用をしてもBCは援用したことにはならない。また、Aが時効の利益を放棄しても、BCは放棄したことにはならない。


35 AのBに対する代金支払債務について消滅時効が完成した後、Aが当該代金債務を承認したとき、それが時効完成を知らずに承認したのであれば当該代金支払債務の消滅時効を援用することができるが、時効完成を知って承認したのであれば、当該代金支払債務の消滅時効を援用することはできなくなる。

35 誤り 消滅時効完成後の承認は、時効完成を知ってしたか、知らずにしたかを問わず、以後、時効を援用することはできなくなる。


36 AのBに対する代金支払債務について消滅時効が完成した後に承認をしたことで時効の援用ができなくなったとしても、承認後、再度、時効は進行し、完成すれば、時効を援用することができる。

36 正しい 消滅時効完成後の承認により時効の援用ができなくなるが、承認後、再び時効は進行し、完成すれば、その完成した時効の援用をすることができる。


37 時効が完成すると、その効力は、その起算日にさかのぼる。

37 正しい 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。


38 取得時効の援用権者は、占有開始以後の時点を任意に選択して、時効の起算日とすることができる。

38 誤り 時効の援用権者が、任意に時効の起算点を選択して、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。


39 時効の完成猶予とは、本来の時効期間が満了しても、所定の時期を経過するまでは時効は完成しないことをいう。

39 正しい 時効の完成猶予とは、一定の事由が生じた場合に、その事由が終了するまでの間又は終了後一定期間時効が完成しなくなることをいう。


40 時効の更新とは、既に進行した時効期間が全く効力を失い、新たに時効期間が進行を始めることをいう。

40 正しい 時効の更新とは、一定の事由が生じた場合に、それまで積み重ねてきた時効期間がゼロとなり、新たに時効期間の進行を始めることをいう。


41 裁判上の請求があれば、それに係る権利が確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定されるまでは時効の完成が猶予され、確定されたときは、当該確定された権利について新たに時効が進行を開始する。

41 正しい 裁判上の請求は、時効完成猶予事由であり、権利が確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定されるまでは時効の完成が猶予される。そして、権利が確定されれば、時効の更新となり、当該確定された権利につき新たに時効が進行を開始する。


42 訴えを提起したが、訴えを却下の判決がなされたとき、時効の完成猶予も時効の更新もない。

42 誤り 訴えを提起し、訴えを却下の判決がなされたとき、訴え却下から6カ月を経過するまで時効の完成が猶予される。ただ、時効の更新はない。


43 訴えを提起したが、それを取り下げた場合、取下げから3か月を経過するまで時効の完成が猶予される。しかし、時効の更新はない。

43 誤り 訴えを取り下げた場合、取下げから6カ月を経過するまで時効の完成が猶予される。時効の更新はない。


44 支払督促の申立てによりその手続が終了するまで時効完成は猶予され、この手続により確定された債権は、確定された時から新たに時効が進行を開始する。

44 正しい 支払督促の申立てによりその手続が終了するまで時効完成は猶予される。その手続において確定された債権は、確定された時、すなわち支払督促の申立てに対し仮執行の宣言があり、これに対し督促異議の申立てがなく2週間が経過し、または督促異議の申立てを却下する決定が確定した時から時効の更新となり、新たに時効が進行する。


45 民事訴訟法第275条第1項の和解(起訴前の和解)の申立て又は民事調停法又は家事事件手続法による調停の申立てがあれば、その手続が終了するまで時効完成は猶予され、これらにおいて確定された権利は、確定されたときから新たに時効が進行を開始する。

45 正しい 民事訴訟法第275条第1項の和解(起訴前の和解)の申立て又は民事調停法又は家事事件手続法による調停の申立てがあれば、その手続が終了するまで時効完成は猶予される。これらの手続より確定された権利は、確定された時から、時効の更新となり、新たに時効が進行する。


46 強制執行又は担保権実行の申立てがあれば、その手続が終了するまで時効完成は猶予され、手続が終了したときに弁済を受けることができなかった債権の一部があれば、それにつき新たな時効が進行を開始する。

46 正しい 強制執行又は担保権実行の申立てがあれば、その手続が終了するまで時効完成は猶予される。手続により弁済を受けることができなかった債権の一部があれば、それにつき手続き終了時から時効の更新として新たに時効が進行を開始する。


47 強制執行又は担保権実行の申立てをした後、申立てを取り下げれば、その時から6カ月を経過するまで時効の完成が猶予されるが、その後、新たに時効が進行を開始する。

47 誤り 強制執行又は担保権実行の申立てがあれば、その手続が終了するまで時効完成は猶予される。猶予後の時効の更新はない。


48 仮差押え又は仮処分の申立てをしても、本差押えの申立てをしない限り、時効の完成は猶予されず、時効の更新もない。

48 誤り 仮差押え又は仮処分の申立ては時効完成猶予事由であり、本差押えをしない場合でも、手続き終了時から6カ月を経過するまで時効の完成が猶予される。時効の更新はない。


49 天災その他避けることのできない事変によって、裁判上の請求等の手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から6カ月を経過するまでは時効の完成が猶予されるが、時効の更新はない。

49 誤り 天災その他避けることのできない事変によって、裁判上の請求等の手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3カ月を経過するまでは時効の完成が猶予される。時効の更新はない。


50 催告があったときは、その時から6カ月を経過するまでは時効の完成が猶予されるが、時効の更新はない。

50 正しい 催告があったときは、その時から6カ月を経過するまでは時効の完成が猶予される。時効の更新はない。


51 催告によって時効の完成が猶予されている間に再度の催告をすれば、再度の時効の完成が猶予され、再度の催告から6カ月を経過するまでは時効の完成が猶予される。

51 誤り 催告によって時効の完成が猶予されている間に再度の催告をしても、再度の時効の完成の猶予はない。


52 権利についての協議を行う旨の合意において協議を行う期間の定めがないとき、当事者の一方から協議の続行を拒絶する旨の通知がない限り、当該合意があった時から6カ月を経過するまでは時効は完成しない。

52 誤り 権利についての協議を行う旨の合意は時効完成猶予事由であるが、その猶予期間は、①書面による合意の時から1年間、②1年より短い期間を定めた場合にはその期間、③当事者の一方から協議の続行の拒絶通知が書面でされたときはその通知の時から6か月経過した時のいずれか早い時までである。ここより、協議を行う期間の定めがないとき、当事者の一方から協議の続行を拒絶する旨の通知がない限り、当該合意があった時から1年を経過するまでは時効は完成しない。


53 権利についての協議を行う旨の合意において協議を行う期間を定めたとき、当事者の一方から協議の続行を拒絶する旨の通知がない限り、当該定めた期間が1年未満であるときは合意から1年を経過するまでは時効の完成が猶予され、1年以上の期間を定めたときはその定めた期間を経過するまでは時効の完成が猶予される。

53 誤り 権利についての協議を行う旨の合意は時効完成猶予事由であるが、その猶予期間は、①書面による合意の時から1年間、②1年より短い期間を定めた場合にはその期間、③当事者の一方から協議の続行の拒絶通知が書面でされたときはその通知の時から6か月経過した時のいずれか早い時までである。ここより、協議を行う期間として1年未満の期間を定めたとき、当事者の一方から協議の続行を拒絶する旨の通知がない限り、その定めた期間を経過するまでは時効の完成が猶予される。合意から1年を経過するまでは時効の完成が猶予されるものではない。一方、時効猶予期間として1年以上の期間を定めることはできず、定めても、当事者の一方から協議の続行を拒絶する旨の通知がない限り、合意から1年を経過するまで時効の完成が猶予されるに過ぎない。


54 権利についての協議を行う旨の合意は、書面によらず口頭でなされた場合であっても、時効の完成が猶予される。

54 誤り 時効完成猶予事由としての権利についての協議を行う旨の合意は、書面によることを要し、口頭の合意では猶予事由とならない。


55 協議の続行を拒絶する旨の通知により一定期間時効の完成が猶予されることがあるが、この拒絶する旨の通知は、口頭で足り、書面による必要はない。

55 誤り 協議の続行を拒絶する旨の通知は、書面によりなされた場合に限り、一定期間時効の完成が猶予されることがある。


56 権利についての協議を行う旨の合意により時効の完成が猶予されている間にされた再度の協議の合意は、時効の完成猶予の効力を有するが、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない。

56 正しい 権利についての協議を行う旨の合意により時効の完成が猶予されている間にされた再度の協議の合意は、時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない。


57 権利の承認があれば、その時から6カ月を経過するまで時効の完成が猶予され、その後、新たに時効が進行を始める。

57 誤り 権利の承認は時効更新事由であり、時効完成猶予事由ではない。承認があったときは、その時から新たに時効がその進行を始める。猶予ということはない。


58 制限行為能力者が行った権利の承認であれば、時効が更新されることはない。

58 誤り 成年被後見人及び法定代理人の同意を得ていない未成年者を除き、制限行為能力者が行った権利の承認であっても、時効は更新される。


59 時効の完成猶予及び時効の更新の効力は、一部の場合を除き、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

59 正しい 時効の完成猶予及び時効の更新の効力は、保証等の場合を除き、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。


60 物上保証において、抵当権の被担保債権の債務者が被担保債権について承認をしても、それによる時効更新の効力は物上保証人には及ばず、物上保証人は被担保債権の時効の更新を否定し、時効を援用することで抵当権の消滅を主張することができる。

60 誤り 物上保証において、抵当権の被担保債権の債務者が被担保債権について承認をすれば、それによる時効更新の効力は、物上保証人にも及ぶ。つまり、債務者による被担保債権の承認により被担保債権の時効は更新され、時効は完成せず、物上保証人は、被担保債権の時効消滅による抵当権の消滅を主張することはできない。

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