営業保証金の供託
01 新たに宅地建物取引業を営もうとする者は、営業保証金を金銭又は国土交通省令で定める有価証券により、主たる事務所の最寄りの供託所に供託した後に、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けなければならない。
01 誤り 営業保証金は、宅建業者が供託する。即ち、免許を受け、宅建業者となった後に、営業保証金を供託する。営業保証金を供託した後に免許を受けるものではない。
02 宅地建物取引業保証協会の社員である宅地建物取引業者Bは、宅地建物取引業保証協会の社員の地位を失ったときは、その地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を供託しなければならない。
02 正しい 宅建業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならない。
03 保証協会の社員である宅地建物取引業者Aは、保証協会の社員の地位を失った場合において、保証協会に弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしていたときは、すべての事務所で営業を継続するためには、1週間以内に主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金として1,500万円を供託しなければならない。
03 誤り 宅建業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、当該地位を失った日から1週間以内に、主たる事務所につき1,000万円、従たる事務所ごとに500万円の営業保証金を供託しなければならない。150万円の弁済業務保証金分担金を納付しているAは、弁済業務保証金分担金の金額が主たる事務所につき60万円、従たる事務所ごとに30万円であるところから、主たる事務所のほかに従たる事務所2つを有していることになる。よって、供託すべき営業保証金の額は、2,000万円となる。
04 営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aと宅地建物取引業保証協会の社員であるBが、それぞれ主たる事務所の他に3か所の従たる事務所を有している場合、Aは営業保証金として2,500万円の供託を、Bは弁済業務保証金分担金として150万円の納付をしなければならない。
04 正しい 供託すべき営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円の割合による金額の合計額である。また、納付すべき弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円の割合による金額の合計額である。よって、主たる事務所の他に3か所の従たる事務所を有している場合、Aが供託すべき営業保証金は、1,000万円+500万円×3=2,500万円となり、Bが納付すべき弁済業務保証金分担金は、60万円+30万円×3=150万円となる。
05 営業保証金を供託している宅地建物取引業者A(国土交通大臣免許)は、甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金をその従たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
05 誤り 新たに従たる事務所を設置したときの営業保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所に供託する。よって、Aは、従たる事務所ではなく主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
06 新たに事務所を設置する場合、営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aは、主たる事務所の最寄りの供託所に供託すべき営業保証金に、宅地建物取引業保証協会の社員であるBは、保証協会に納付すべき弁済業務保証金分担金に、それぞれ金銭又は有価証券をもって充てることができる。
06 誤り 営業保証金の供託は金銭によるほか有価証券をもって充てることもできる。しかし、弁済業務保証金分担金の納付は金銭に限られ、有価証券をもって充てることはできない。よって、Aは営業保証金に金銭によるほか有価証券をもって充てることもできる。しかし、Bは、弁済業務保証金分担金を有価証券により納付することはできず、金銭又は有価証券をもって充てることができるということはできない。
07 宅地建物取引業者は、新たに事務所を2か所増設するための営業保証金の供託について国債証券と地方債証券を充てる場合、地方債証券の額面金額が800万円であるときは、額面金額が200万円の国債証券が必要となる。
07 誤り 従たる事務所に係る営業保証金の額は500万円であるところから、新たに事務所を2か所増設するためには、1,000万円の営業保証金を供託する必要がある。営業保証金を有価証券で供託するとき、国債証券は額面金額の価額であるが、地方債証券は額面金額の100分の90の価額となる。よって、額面金額800万円の地方債証券は720万円の価額となり、1,000万円の営業保証金の供託のためには額面金額280万円の国債証券が必要となる。
営業保証金供託済の届出
08 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
08 誤り 宅建業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、当該事務所につき政令で定める額の営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。従たる事務所の最寄りの供託所に供託するのではない。供託した後、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない点は、正しい。
09 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置するため営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
09 正しい 宅建業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、当該事務所につき営業保証金を供託しなければならず、供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
10 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の開始後1週間以内に、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、営業保証金を供託した旨を免許を受けた国上交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
10 誤り 営業保証金を供託した旨の届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。つまり、営業保証金を供託した旨の届出は、営業を開始する前に行う。
11 宅地建物取引業者は、免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出を行わなかったことにより国土交通大臣又は都道府県知事の催告を受けた場合、当該催告が到達した日 から1月以内に届出をしないときは、免許を取り消されることがある。
11 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から3月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならない。この催告が到達した日から1月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、国土交通大臣又は都道府県知事は免許を取り消すことができる。
営業保証金の保管替え等
12 営業保証金として1,000万円の金銭と額面金額500万円の国債証券を供託している宅地建物取引業者Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合は、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければならない。
12 正しい 宅建業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託している場合を除き、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。よって、営業保証金の一部を国債証券により供託しているAは、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければならない。
13 宅地建物取引業者が、営業保証金を金銭及び有価証券をもって供託している場合で、主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更したときは、金銭の部分に限り、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。
13 誤り 宅建業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。ここより、営業保証金を金銭及び有価証券をもって供託している場合は、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならず、その金銭の部分であっても、保管替えの請求をすることはできない。
14 宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。
14 誤り 宅建業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。自ら移転後の最寄りの供託所に供託するものではない。
営業保証金の変換
15 宅地建物取引業者は、既に供託した額面金額1,000万円の国債証券と変換するため1,000万円の金銭を新たに供託した場合、遅滞なく、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
15 正しい 宅建業者は、営業保証金の変換のため新たに供託したときは、遅滞なく、その旨を、その免許を受けている国土交通大臣又は都道府県知事に届け出るものとする。
営業保証金の還付
16 宅地建物取引業者に委託している家賃収納代行業務により生じた債権を有する者は、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受けることができる。
16 誤り 営業保証金から弁済を受けることができる債権は、宅建業者との宅建業に関する取引により生じた債権である。家賃収納代行業務は宅建業に該当せず、これにより生じた債権について、営業保証金から弁済を受けることはできない。
17 宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者(宅地建物取引業者を除く。)は、営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aに関する債権にあってはAが供託した営業保証金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有し、宅地建物取引業保証協会の社員であるBに関する債権にあってはBが納付した弁済業務保証金分担金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有する。
17 誤り 保証協会の社員と宅建業に関し取引をした者(宅建業者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、当該社員が社員でないとしたならばその者が供託すべき営業保証金の額に相当する額の範囲内において、弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する。よって、Bに関する債権にあっては、弁済業務保証金分担金ではなく、Bが保証協会の社員でないとしたならばBが供託しなければならない営業保証金の額を上限として弁済を受けることができる。Aに関する債権にあってはAが供託した営業保証金についてその額を上限として弁済を受ける権利を有する点は、正しい。
18 営業保証金として1,000万円の金銭と額面金額500万円の国債証券を供託している宅地建物取引業者AとAの本店で宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、1,000万円を限度としてAからその債権の弁済を受ける権利を有する。
18 誤り 宅建業者と宅建業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅建業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。このとき、本店による取引から生じた債権であっても、本店に係る営業保証金である1,000万円を限度とするのではなく、宅建業者が供託している営業保証金の全額の範囲、本肢でいえば1,500万円の範囲で弁済を受けることができる。
19 宅地建物取引業者は、営業保証金の還付があったために営業保証金に不足が生じたときは、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければならない。
19 正しい 宅建業者は、営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する者がその権利を実行したため、営業保証金が法定額に不足することとなったときは、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければならない。
20 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、営業保証金が還付され、営業保証金の不足額を供託したときは、供託書の写しを添附して、30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。
20 誤り 宅建業者は、還付に伴い営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、30日以内ではなく、2週間以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
営業保証金の取戻し
21 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。
21 正しい 一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻すには、当該営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかった場合でなければならない。
22 宅地建物取引業者Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合において、従前の営業保証金を取りもどすときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、一定期間内に申し出るべき旨の公告をしなければならない。
22 誤り 営業保証金の取戻しに際して本肢の取戻公告が必要となるのは、免許の失効又は免許の取消に伴い営業保証金を取り戻す場合であり、Aのように、本店の移転に伴い移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託したことにより移転前の主たる事務所の最寄りの供託所から営業保証金を取り戻す場合には取戻公告を要しない。