既存不適格建築物の特例
01 法の改正により、現に存する建築物が改正後の法の規定に適合しなくなった場合には、当該建築物は違反建築物となり、速やかに改正後の法の規定に適合させなければならない。
01 誤り 建築基準法の規定の施行又は適用の際現に存する建築物が当該規定に適合しない場合においては、当該建築物に対しては、当該規定は、適用しない。ここより、法の改正により、現に存する建築物が改正後の法の規定に適合しなくなった場合には、当該建築物に当該規定は適用されず、当該規定に違反する建築物とはならない。よって、速やかに改正後の法の規定に適合させなければならないということはない。
建築確認の要否
02 階数が2で延べ面積が200㎡の鉄骨造の共同住宅の大規模の修繕をしようとする場合、建築主は、当該工事に着手する前に、確認済証の交付を受けなければならない。
02 正しい 建築主は、2以上の階数を有する建築物であれば、その延べ面積を問わず、それにつき大規模の修繕をしようとする場合においては、当該工事に着手する前に、確認済証の交付を受けなければならない。よって、階数が2の鉄骨造の共同住宅の大規模の修繕をしようとするとき、その延べ面積が200㎡であっても、建築主は、当該工事に着手する前に、確認済証の交付を受けなければならない。
03 延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であれば建築確認を受ける必要はない。
03 誤り 延べ面積が200㎡を超える建築物であれば、区域を問わず、大規模の修繕について建築確認が必要となる。よって、延べ面積が500㎡を超える建築物について、大規模な修繕をしようとする場合、都市計画区域外であっても、建築確認を受ける必要がある。
04 防火地域内に存在する共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が30㎡)を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がある。
04 正しい 防火地域は、都市計画区域内に指定されるところから、防火地域内に存在する共同住宅は、都市計画区域内に存在する特殊建築物ということになる。都市計画区域内に存在する特殊建築物に係る増築については、その用途に供する部分の床面積の合計の面積を問わず、建築確認を要する。そして、増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内である場合、それが防火地域及び準防火地域外における増築であれば建築確認を要しないが、防火地域内における増築であれば、なお建築確認を要する。ここより、防火地域内に存在する共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が30㎡)を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がある。
05 床面期の合計が500㎡の映画館の用途に供する建築物を演芸場に用途変更する場合、建築主事又は指定確認機関の確認を受ける必要はない。
05 正しい 建築物の用途を変更して建築につき建築確認を要する特殊建築物のいずれかとする場合(当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合を除く。)においては、建築確認を受ける必要がある。ここに建築につき建築確認を要する特殊建築物とは、建築基準法別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものをいい、床面の合計が500㎡の演芸場はここにいう特殊建築物に該当する。ただ、映画館と演芸場は、政令で指定する類似の用途に該当する。よって、映画館の用途に供する建築物を演芸場に用途変更する場合、建築主事又は指定確認機関の確認を受ける必要はない。
06 劇場の用途に供する建築物を映画館(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要はない。
06 正しい 建築物の用途を変更して特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものとする場合においては、建築主事又は建築副主事の建築確認(建築副主事の確認は、建築基準法に定める大規模建築物、すなわち建築士法3条1項にいう大規模建築物以外のものに限る。)を要する。ただし、当該用途の変更が政令で指定する類似の用途相互間におけるものである場合は、確認を要しない。劇場も映画館も、特殊建築物に該当する。ただ、劇場と映画館は、政令で指定する類似の用途相互間に該当する。よって、劇場の用途に供する建築物を映画館(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要はない。
建築物の使用制限
07 建築主は、3階建ての木造の共同住宅を新築する場合において、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。
07 正しい 階数3以上の木造建築物を新築した場合、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物を使用することができないのが原則であるが、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。よって、3階建ての木造の共同住宅を新築する建築主は、特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたときは、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該共同住宅を使用することができる。
建築基準法等違反建築物に対する措置
08 特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、建築基準法の規定に違反した建築物の所有者等に対して、仮に、当該建築物の使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
08 正しい 特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物の所有者等に対して、一定の手続により、違反是正措置・使用禁止等の命令をすることができるが、緊急の必要がある場合においては、この一定の手続によることなく、仮に、当該建築物の使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
09 特定行政庁は、建築基準法の規定に違反した建築物(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物を除く。)の所有者に対して、緊急の必要があり、仮に当該建築物の使用禁止又は使用制限の命令をする場合であっても、意見書の提出先等を記載した通知書の交付等の手続をとらなければならない。
09 誤り 特定行政庁は、建築基準法令の規定に違反した建築物(国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物を除く。)については、当該建築物の所有者に対して、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。このとき、特定行政庁は、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対して、意見書の提出先等を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。ただし、緊急の必要がある場合においては、こうした手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。以上より、特定行政庁は、緊急の必要があり、仮に当該建築物の使用禁止又は使用制限の命令をする場合であれば、意見書の提出先等を記載した通知書の交付等の手続をとる必要はない。
居室の換気
10 換気設備を設けていない居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して10分の1以上としなければならない。
10 誤り 居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合においては、この限りでない。よって、換気設備を設けていない居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して10分の1ではなく、20分の1以上としなければならない。
石綿等の飛散等に対する衛生上の措置
11 石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除き、使用してはならない。
11 正しい 石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用使用してはならない。
12 居室の内装の仕上げには、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料を使用することが認められていない。
12 誤り 居室の内装の仕上げには、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料について、発散させるホルムアルデヒドの量に応じて、使用が禁止される場合と使用する面積が制限される場合がある。したがって、ホルムアルデヒドを発散させる建築材料であれば、すべて使用することが認められていないというものではない。
階段の手すり
13 高さ1m以下の階段の部分には、手すりを設けなくてもよい。
13 正しい 階段には、手すりを設けなければならないのが原則であるが、高さ1m以下の階段の部分には、手すりを設けなくてもよい。
天井の高さ
14 居室の天井の高さは、一室で天井の高さの異なる部分がある場合、室の床面から天井の最も低い部分までの高さを2.1m以上としなければならない。
14 誤り 居室の天井の高さは、一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、室の床面から測りその平均の高さが2.1m以上でなければならない。よって、平均の高さが2.1m以上であれば、天井の最も低い部分までの高さが2.1m未満であることも認められる。
特殊建築物の主要構造部の規制
15 倉庫の用途に供する建築物で、その用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が500㎡であるものは、耐火建築物としなければならない。
15 正しい 倉庫の用途に供する建築物で、その用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が200㎡以上のものは、耐火建築物としなければならない。よって、倉庫の用途に供する建築物で、その用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が500㎡であるものは、耐火建築物としなければならない。
防火壁・防火床
16 延べ面積が1,000㎡を超える準耐火建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。
16 誤り 延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によって有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならないが、耐火建築物又は準耐火建築物については、この限りでない。
直通階段
17 4階建ての建築物の避難階以外の階を劇場の用途に供し、当該階に客席を有する場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
17 正しい 建築物の避難階以外の階が劇場の用途に供する階でその階に客席を有するものにおいては、その階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない。
18 3階建て以上の建築物の避難階以外の階を、床面積の合計が1,500㎡を超える物品販売業の店舗の売場とする場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
18 正しい 階数が3以上である建築物で、避難階以外の階が物品販売業を営む店舗(床面積の合計が1,500㎡を超えるものに限る。)の用途に供するもので、その階に売場を有するものには、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
敷地内の避難通路
19 4階建ての共同住宅の敷地内には、避難階に設けた屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が2m以上の通路を設けなければならない。
19 誤り 敷地内には、屋外に設ける避難階段及び避難階における階段から屋外への出口から道又は公園、広場その他の空地に通ずる幅員が1.5m(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満の建築物の敷地内にあっては、90㎝)以上の通路を設けなければならない。よって、4階建ての共同住宅の敷地内に設けなければならない通路の幅員は、2mではなく1.5m以上である。
排煙設備
20 延べ面積が800㎡の百貨店の階段の部分には、排煙設備を設けなくてもよい。
20 正しい 建築基準法法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるものには、排煙設備を設けなければならないが、階段の部分については、この限りでない。ここにいう特殊建築物に延べ面積が800㎡の百貨店は該当するが、その階段の部分には、排煙設備を設けなくてもよい。
非常用照明装置
21 共同住宅の住戸には、非常用の照明装置を設けなければならない。
21 誤り 共同住宅には非常用の照明装置を設けなければならないが、共同住宅の場合、その住戸に非常用の照明装置を設ける必要はない。
昇降機
22 高さ30mの建築物には、非常用の昇降機を設けなければならない。
22 誤り 高さ31mをこえる建築物には、一定の場合を除き、非常用の昇降機を設けなければならない。よって、高さ30mの建築物には、非常用の昇降機を設けないことも認められる。
避雷設備
23 高さ25mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
23 正しい 高さ20mをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでない。よって、高さ25mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
24 高さ25mの建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
24 正しい 高さ20mをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでない。よって、高さ25mの建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。
災害危険区域
25 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができ、当該区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは当該条例で定めることとされている。
25 正しい 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。そして、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、地方公共団体の条例で定める。
26 地方公共団体が、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定した場合には、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築は一律に禁止されることになる。
26 誤り 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、条例で定める。このとき、建築制限に関しては、所有権等の行使の重大な制限となるので建築物の安全の確保できる最低限度のものでなければならず、技術的に対処することが困難区域については、住居の用に供する建築物の建築の禁止が認められる。しかし、住居の用に供する建築物の建築が一律に禁止されるというものではない。
27 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定し、当該区域内における住居の用に供する建築物の建築を禁止することができる。
27 正しい 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、地方公共団体の条例で定める。
条例による規制
28 地方公共団体は、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。
28 正しい 地方公共団体は、その地方の気候若しくは風土の特殊性又は特殊建築物の用途若しくは規模に因り、建築基準法第3章の規定又はこれに基く命令の規定のみによっては建築物の安全、防火又は衛生の目的を充分に達し難いと認める場合においては、条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して安全上、防火上又は衛生上必要な制限を附加することができる。