宅建業法09/報酬規制(36肢)

報酬額の公定

01 宅地建物取引業者(消費税課税事業者)が受けることのできる報酬は、依頼者が承諾していたとしても、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えてはならない。

01 正しい 宅建業者が業務に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところにより、宅建業者は、この額をこえて報酬を受けてはならない。よって、宅建業者が受けることのできる報酬は、依頼者が承諾していたとしても、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えてはならない。


02 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。宅地建物取引業法の規定に違反する。

02 正しい 宅建業者は、国土交通大臣が定める限度額を超える報酬を受けることができないが、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限度額に加えて受領することができる。しかし、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額については、それが通常の広告の料金に相当する額であっても、国土交通大臣が定める限度額に加えて受領することはできず、受領したときは宅建業法に違反する。


03 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。

03 誤り 宅建業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、国土交通大臣が定めた額を超えて、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。ここより、宅建業者は、依頼者の依頼によって行う広告の料金に限り報酬の限度額を超えて受領することができる。依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬の限度額を超えて、当該広告の料金に相当する額を受領することができるものではない。


04 宅地建物取引業者(消費税課税事業者)は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる。

04 誤り 宅建業者は、国土交通大臣の定める報酬額の上限を超えて報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。よって、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合でも、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることはできない。


05 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、Cを借主とする賃貸借契約を成立させた。AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。宅地建物取引業法の規定に違反する。

05 誤り  宅建業者は、法定の限度額を超える額の報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。ここからAは、Bから事前に特別な広告の依頼があった依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領しても、宅建業法に違反しない。


06 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が、Bから売買の媒介を依頼され、Bから特別の依頼に基づき、遠隔地への現地調査を実施した。その際、当該調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたので、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。

06 正しい 宅建業者は、報酬限度額のほか依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額を除き報酬を受けることはできないが、これは宅建業者が依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査に要する実費の費用に相当する額の金銭を依頼者から提供された場合にこれを受領すること等依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金額で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものを別途受領することまでも禁止する趣旨は含まれていない。ここから、Aが、Bから特別の依頼に基づき、実施した遠隔地への現地調査に要する特別の費用について、Bが負担することを事前に承諾していたのであれば、Aは媒介報酬とは別に、当該調査に要した特別の費用相当額を受領することができる。


07 Aは、土地付建物について、売主と買主の双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主の双方からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。宅地建物取引業法に違反しない。

07 正しい 報酬限度額は、本体価額により計算する。土地代金に消費税が含まれることはないところから、代金3,500万円のうち消費税を含む建物代金は3,500万円-2,400万円=1,100万円であり、建物の本体価格は1,100万円÷1.1=1,000万円となり、土地と建物の合計の本体価格は、3,400万円となる。本体価格400万円を超えるときの一方の当事者からの消費税を含む媒介報酬限度額は、(本体価格×3%+6万円)×1.1であるところから、Aが売主又は買主からの媒介報酬限度額は、(3,400万円×3%+6万円)×1.1=118万8000円となる。よって、Aが売主と買主の双方からそれぞれ10万円を報酬として受領したことは、宅建業法に違反しない。また、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものについては、報酬とは別にこれを受領することができる。よって、Aが遠隔地への現地調査に要した実費の費用として売主から9万円を受領したことも、宅建業法に違反しない。


08 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、BとCとの間で賃貸借契約を成立させた。Aは、Bから媒介報酬の限度額まで受領する他に、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を別途受領することができる。

08 誤り 宅建業者は、媒介に関し、法定の限度額を超える報酬を受領することはできない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。ここより、Aは、Bの依頼によらない通常の広告の料金に相当する額について、Bから媒介報酬の限度額とは別途に受領することはできない。


09 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は借主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、Cを貸主とする賃貸借契約を成立させた。AはBに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから受領限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。宅地建物取引業法の規定に違反する。

09 正しい 宅建業者は、法定の限度額を超える額の報酬を受けることができない。ここから、Aは、賃貸借契約書の作成費を、Bから受領限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領したことは、宅建業法に違反する。


10 既存住宅の売買の媒介について、宅地建物取引業者Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。

10 正しい 建物状況調査を実施する者のあっせんは、媒介業務の一環であるため、宅建業者は、依頼者に対し建物状況調査を実施する者をあっせんした場合において、報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。


11 既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。

11 正しい 建物状況調査を実施する者のあっせんは媒介業務の一環として行うものといえ、媒介報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。

報酬額の掲示義務

12 宅地建物取引業者は、主たる事務所については、免許証、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う。

12 誤り 主たる事務所に免許証を掲示する義務はない。主たる事務所に、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う点は、正しい。


13 宅地建物取引業者が、一団の宅地の分譲を行う案内所において宅地の売買の契約の締結を行う場合、その案内所には国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

13 誤り 宅建業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。案内所であれば、そこで宅地の売買の契約の締結を行う場合であっても、報酬の額を掲示する必要はない。

売買・交換の媒介・代理報酬の規制

14 Aは売主から代理の依頼を、Bは買主から媒介の依頼を、それぞれ受けて、代金5,000万円の宅地の売買契約を成立させた場合、Aは売主から343万2,000円、Bは買主から171万6,000円、合計で514万8,000円の報酬を受けることができる。

14 誤り 価額5,000万円の宅地の売買の代理に関して依頼者から報酬を受領する宅建業者が当該売買の相手方からも報酬を受け取る場合は、(5,000万円×3.3%+66,000円=1,716,000円)の2倍を超えてはならない。よって、Aは、売主と買主の双方から合計で514万8,000円の報酬を受けることはできない。


15 宅地(代金1,000万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が売主から代理の依頼を受け、買主から媒介の依頼を受け、売買契約を成立させて買主から303,000円の報酬を受領する場合、売主からは489,000円を上限として報酬を受領することができる。

15 正しい 宅地の売買において、代金1,000万円の宅地売買において、一方当事者から受領することができる媒介報酬限度額は、1,000万円×3%+6万円=36万円に消費税を加えた396,000円である。そして、この媒介報酬限度額2倍に相当する792,000円が一方の当事者から受領することができる代理報酬の限度額となり、また、当事者双方から受領することができる合計の媒介報酬の限度額も媒介報酬限度額2倍に相当する792,000円となる。ここより、売主から受領する代理報酬の限度額は792,000円、買主から受領する媒介報酬の限度額は396,000円、売主と買主の双方から受領する報酬の合計限度額は792,000円となる。よって、買主から媒介報酬として303,000円を受領することができ、このとき売主からは792,000円-303,000円=489,000円を受領することができることになる。

低廉な空家等の売買・交換に関する特例

16 宅地の売買(代金500万円)の媒介について、あらかじめ報酬額について依頼者である売主Dに対して説明し、AD間で合意をしても、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要する場合でない限り、AはDから33万円を報酬として受領することはできない。

16 誤り 代金が800万円以下の土地であるところから、低廉な空家等の売買に関する特例として、あらかじめ報酬額について依頼者に対して説明し、両者間で合意をすることで費用を勘案して33万円を限度に報酬を受領することができる。この特例は、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ多く要する場合に適用されるというものではない。よって、Aは、あらかじめ報酬額についてDに対して説明し、AD間で合意をすることで、Aは、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要する場合でなくても、Dから33万円を報酬として受領することができる。


17 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、土地付建物について、売主Bから媒介を依頼され、代金750万円(消費税等相当額を含み、土地代金は200万円である。)で契約を成立させた。Aが報酬額について現地調査等の費用4万3,000円(消費税相当額を含む。)を含めて34万円となることをBに説明し、AB間で合意していれば、AがBから受領できる報酬の限度額は34万円である。

17 誤り 消費税を含まない代金の額が800万円以下の土地付建物の売買の媒介については、低廉な空家等の売買に関する特例により、あらかじめ報酬額について依頼者に対して説明し、両者間で合意をすることで、費用を勘案して33万円まで報酬として受領することができる。よって、750万円の土地付建物の売買において、Aが報酬額について現地調査等の費用4万3,000円(消費税相当額を含む。)を含めて34万円となることをBに説明し、AB間で合意していても、AがBから受領できる報酬の限度額は33万円である。


18 土地の売買(代金350万円)について、宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が売主Bから代理を依頼されたとき、Aは、あらかじめ報酬額についてBに対して説明し、AB間で合意をしていれば、AはBから66万円を上限として報酬を受領することができる。

18 正しい 消費税を含まない代金の額が800万円以下の宅地の売買の代理については、低廉な空家等の売買に関する特例により、あらかじめ報酬額について依頼者に対して説明し、両者間で合意をすることで、費用を勘案して66万円まで報酬として受領することができる。よって、Aは、あらかじめ報酬額についてBに対して説明し、AB間で合意をしていれば、AはBから66万円を上限として報酬を受領することができる。


19 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は、土地の売買(代金700万円)の媒介において、Aが報酬額についてB及びCに説明し、AB及びAC間で合意していたしても、Aは、BC双方から合計で受領できる報酬の限度額は、62万7,000円である。

19 誤り 代金の額が800万円以下の土地の売買の媒介については、低廉な空家等の売買に関する特例により、あらかじめ報酬額について依頼者に対して説明し、両者間で合意をすることで、費用を勘案して33万円まで報酬として受領することができる。よって、Aは、報酬額についてB及びCに説明し、AB及びAC間で合意していれば、B及びCのそれぞれから受領できる報酬の限度額は33万円であり、BC双方から合計で受領できる報酬の限度額は66万円となる。

貸借の当事者の一方から受領する媒介・代理報酬の規制

20 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が店舗兼住宅(1か月の借賃20万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借の媒介をする場合、依頼者の一方から受領する報酬は11万円を超えてはならない。

20 誤り 店舗兼住宅は、報酬額の計算においては、居住用建物ではなく、非居住用建物として扱う。非居住用建物の貸借において、依頼者の一方から受領する媒介報酬限度額は借賃の1カ月である。よって、1カ月の借賃が20万円の場合、依頼者の一方から受領する報酬は20万円に消費税を加えた22万円を超えてはならないことになる。


21 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が、居住用建物について、貸主Bから貸借の媒介を依頼され、この媒介が使用貸借に係るものである場合は、当該建物の通常の借賃をもとに報酬の限度額が定まるが、その算定に当たっては、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならない。

21 誤り 使用貸借に係る媒介報酬の限度額は、当該建物の通常の借賃をもとに算定する。ここに通常の借賃とは、賃貸借される場合に通常定められる適正かつ客観的な賃料を指すものであり、その算定に当たっては、必要に応じて不動産鑑定業者の鑑定評価を求めることとする。ここより、不動産鑑定業者の鑑定評価を求めなければならないというものではない。

居住用建物の賃貸借の媒介の場合の特則

22 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)が借主Dから媒介の依頼を受け、BとDとの間で居住建物の賃貸借契約(1か月分借賃8万円)を成立させた場合、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。

22 正しい 居住用建物の貸借において、宅建業者が一方の当事者から受領することができる媒介報酬限度額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額である。よって、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ているときを除き、借賃の1月分8万円の0.55倍に相当する44,000円を超える報酬をDから受領することはできない。


23 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。本件契約が建物を住居として貸借する契約である場合に、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ないまま、132,000円の報酬を受領した。宅地建物取引業法の規定に違反する。

23 正しい 居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の1月分の0.55倍に相当する金額以内とする。ここから、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ていないCが受領できる媒介報酬額は、1か月分の借賃12万円の0.55倍に相当する66,000円以内でなければならず、132,000円の報酬を受領したことは宅建業法に違反する。


24 居住用建物(1か月の借賃12万円。消費税等相当額を含まない。)について、宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主から代理を依頼され、宅地建物取引業者B(消費税免税事業者)は借主から媒介を依頼され、Aは貸主から6.7万円、Bは借主から6.5万円を報酬として受領した。なお、Bは、媒介の依頼を受けるに当たって、報酬について借主から特段の承諾を得ていない。宅地建物取引業法に違反する。

24 正しい 居住用建物の貸借の媒介の依頼者からの消費税免税宅建業者の媒介報酬の受領限度額は、依頼者の承諾を得ていないときは借賃の0.52カ月分に相当する額である。ここから、Bの借主からの媒介報酬の受領限度額は、12万円×0.52=62,400円である。よって、6.5万円を報酬として受領したことは、宅建業法に違反する。


25 Aが単独で行う居住用建物の貸借の媒介に関して、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、当該媒介の依頼者から報酬請求時までに承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分である。

25 誤り 居住用建物の貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、借賃の0.55か月に相当する額が原則であるが、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合には、借賃の1.1か月分となる。よって、Aは、依頼者から報酬請求時までに承諾を得た場合であっても、媒介の依頼を受けるに当たって依頼者の承諾を得ていなければ、受領することができる報酬の上限額は借賃の0,55か月分であり、1.1か月分ではない。

権利金による計算の特例

26 Aが単独で貸主と借主の双方から店舗用建物の貸借の媒介の依頼を受け、1か月の借賃25万円、権利金330万円(権利設定の対価として支払われるもので、返還されないものをいい、消費税等相当額を含む。)の賃貸借契約を成立させた場合、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、30万8,000円である。

26 誤り 権利金の授受を伴う非居住用建物の貸借の媒介に係る報酬の上限額は、借賃の1,1か月に相当する額と権利金の額を売買に係る代金の額とみなして売買の媒介に係る報酬の上限額を比較し、高い方の価額となる。権利金330万円の場合、消費税を除くと300万円となるが、これを売買の代金とみなして計算した限度額は、(300万円×4.4%+22,000円=154,000円)となり、1,1か月の借賃275,000円の方が高いところから、Aが依頼者の一方から受けることができる報酬の上限額は、275,000万円となる。

当事者双方が媒介・代理報酬を支払う場合の規制

27 事務所(1か月の借賃110万円。消費税等相当額を含む。権利金の授受なし。)の貸借の媒介について、宅地建物取引業者Aは依頼者の双方から 合計で110万円を上限として報酬を受領することができる。報酬額に含まれる消費税等相当額は税率10%で計算するものとする。

27 正しい 消費税課税事業者である宅建業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計は、当該建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとする)の1月分の1.1倍に相当する金額以内とする。よって、消費税課税事業者であるAは、消費税を含まない借賃100万円の1.1倍に相当する110万円を上限として報酬を受領することができる。


28 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)が借主Dから媒介の依頼を受け、BとDとの間で店舗の賃貸借契約(消費税等相当額を含まない1か月分借賃8万円)を成立させた場合、AがBから受領する報酬とCがDから受領する報酬の合計額は88,000円を超えてはならない。

28 正しい 非居住用建物の貸借において、宅建業者が当事者の双方から代理又は媒介の報酬を受領する場合、その合計額は借賃の1月分の1.1倍に相当する金額を超えてはならない。よって、AがBから受領する報酬とCがDから受領する報酬の合計額は、借賃の1月分8万円の1.1倍に相当する88,000円を超えてはならない。


29 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、1か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約を成立させた。当該契約が建物を事務所として貸借する契約である場合に、報酬として、AはBから13,2000円を、CはDから132,000をそれぞれ受領した。宅地建物取引業法の規定に違反する。

29 正しい 宅建業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、当該建物の借賃の1月分の1.1倍に相当する金額以内とする。ここから、AがBから借賃の1月分の1.1倍に相当する13,2000円を、CがDから借賃の1月分の1.1倍に相当する132,000をそれぞれ受領したことは、合計で借賃の1月分の2.2倍に相当する金額の報酬を受領したものであり、宅建業法に違反する。


30 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bから建物の貸借の代理の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)が借主Dから媒介の依頼を受け、BとDとの間で200万円の権利金(消費税等相当額を含まない)の授受がある店舗の賃貸借契約(消費税等相当額を含まない1か月分借賃8万円)を成立させたときは、A及びCが受領できる報酬の額の合計は、110,000円を超えてはならない。

30 誤り 非居住用建物の貸借で権利金の授受があるときにおいて、宅建業者が当事者の双方から代理又は媒介の報酬を受領する場合、借賃により計算した限度額と権利金を売買代金とみなして計算する売買における限度額を比較して、高い金額まで受領することができる。当事者の双方から受領することができる限度額は、借賃により計算すれば1月分の1.1倍に相当する金額、すなわち88,000円となるのに対し、権利金により計算すれば200万円×5%×2=20万円の1.1倍に相当する22万円となる。よって、高い金額である22万円が限度額となり、A及びCが受領できる報酬の額の合計は、110,000円を超えてはならないというものではない。


31 Aが単独で行う事務所用建物の貸借の媒介に関し、Aが受ける報酬の合計額が借賃の1.1か月分以内であれば、Aは依頼者の双方からどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。

31 正しい 非居住用建物の貸借の媒介において当事者双方から報酬を受領する場合、その合計額は借賃の1,1か月を超えてはならない。ただ、この1,1カ月分の範囲内であれば、各当事者から了解を得ればどのような割合で報酬を受けてもよく、また、依頼者の一方のみから報酬を受けることもできる。


32 宅地建物取引業者(消費税課税事業者)が、事業用建物の貸借(権利金の授受はないものとする。)の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限であり、貸主と借主の負担の割合については特段の規制はない。

32 正しい 宅建業者は、権利金の授受がない建物の貸借の媒介に関する報酬について、依頼者の双方から受けることのできる報酬の合計額は、借賃(消費税等相当額を含まない。)1か月分の1.1倍に相当する金額が上限である。このとき、宅建業法、貸主と借主の負担の割合については特段の規制をしていない。

居住用建物の貸借で、当事者の双方又は一方が媒介報酬を支払う場合の特例

33 居住の用に供する建物(1か月の借賃20万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借であって100万円の権利金の授受があるものの媒介をする場合、宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が依頼者双方から受領する報酬の合計額は11万円を超えてはならない。

33 誤り 居住用建物の貸借において、当事者双方から受領することができる合計の媒介報酬限度額は、借賃の1カ月分である。よって、1カ月の借賃が20万円の場合、当事者双方から受領することができる合計の媒介報酬限度額は、20万円に消費税を加えた22万円である。


34 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が居住用建物の貸主B及び借主Cの双方から媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内である。ただし、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、双方から受けることができる報酬の合計額は借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてもよい。

34 誤り  居住用建物の貸借の媒介で、依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内であるが、媒介の依頼を受けるに当たって、依頼者から承諾を得ている場合はこの限りではなく、借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額以内となる。ただ、この依頼者から承諾を得ている場合でも、依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、借賃の1か月分の1.1倍に相当する金額以内でなければならず、1か月分の1.1倍に相当する金額を超えてはならない。

報酬の限度額計算の基礎となる取引価額と消費税

35 Aは、土地付建物について、売主と買主の双方から媒介を依頼され、代金3,500万円(消費税等相当額を含み、土地代金は2,400万円である。)の売買契約を成立させ、売主と買主の双方からそれぞれ110万円を報酬として受領したほか、売主の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した実費の費用について、売主が事前に負担を承諾していたので、売主から9万円を受領した。宅地建物取引業に違反しない。

35 正しい 報酬限度額は、本体価額により計算する。土地代金に消費税が含まれることはないところから、代金3,500万円のうち消費税を含む建物代金は3,500万円-2,400万円=1,100万円であり、建物の本体価格は1,100万円÷1.1=1,000万円となり、土地と建物の合計の本体価格は、3,400万円となる。本体価格400万円を超えるときの一方の当事者からの消費税を含む媒介報酬限度額は、(本体価格×3%+6万円)×1.1であるところから、Aが売主又は買主からの媒介報酬限度額は、(3,400万円×3%+6万円)×1.1=118万8000円となる。よって、Aが売主と買主の双方からそれぞれ10万円を報酬として受領したことは、宅建業法に違反しない。また、依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に相当する額の金銭で、その負担について事前に依頼者の承諾があるものについては、報酬とは別にこれを受領することができる。よって、Aが遠隔地への現地調査に要した実費の費用として売主から9万円を受領したことも、宅建業法に違反しない。

免税業者によるみなし仕入率に係る消費税額分の消費者転嫁

36 宅地建物取引業者B(消費税免税事業者)は、事業用建物について、貸主と借主の双方から媒介を依頼され、借賃1か月分10万円(消費税等相当額を含まない。)、権利金90万円(権利設定の対価として支払われる金銭で返還されないもので、消費税等相当額を含まない。)の賃貸借契約を成立させ、貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領した。宅地建物取引業法に違反しない。

36 正しい 居住用建物以外の建物の貸借で権利金の授受がある場合の媒介報酬の限度額については、権利金を基礎に計算する方法と借賃を基礎に計算する方法があるが、どちらか一方をみたせば、宅建業法に違反することはない。いま、借賃を基礎に計算する方法によれば、消費税免税宅建業者が貸主及び借主から受領する媒介報酬の合計の限度額が借賃の1.04カ月分に相当する額である10万4,000円でなければならない。ただ、合計額が10万4,000円であれば、依頼者のそれぞれ一方から受ける報酬の額、割合等については特段の規制はない。ここより、Bが貸主と借主からそれぞれ5万円を報酬として受領したことは、その合計額は10万円と当事者双方からの合計の限度額10万4,000円の範囲内であり、宅建業法に違反しない。

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