双方代理・自己契約
01 AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。BがCの代理人も引き受け、AC双方の代理人として甲土地に係るAC間の売買契約を締結した場合、Aに損害が発生しなければ、Bの代理行為は無権代理とはみなされない。
01 誤り 同一の法律行為について、当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。これにつき、本人に損害が発生したか否かを問わない。よって、双方代理にあたるBの代理行為は、Aに損害が発生しなくても、無権代理とはみなされる。
利益相反行為
02 相続の放棄は相手方のない単独行為であるから、成年後見人が成年被後見人に代わってこれを行っても、利益相反行為となることはない。
02 誤り 相続の放棄は相手方のない単独行為であるが、たとえば、成年被後見人と成年後見人が共同相続人となる場合、成年後見人が成年被後見人の相続の放棄をすることは、成年被後見人が相続人でなくなることで成年後見人にとって相続分が増加するという利益となり、利益相反行為となる。ここより、成年後見人が成年被後見人に代わって相続の放棄を行っても、利益相反行為となることはないとはいえない。
代理権の消滅
03 委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。
03 正しい 民法111条1項1号は、代理権は本人の死亡によって消滅する旨を規定しているけれども、右はこれと異なる合意の効力を否定する趣旨ではない(最判S31.6.1)。よって、委任契約で本人が死亡しても代理権が消滅しない旨を合意して代理権を与えた場合、本人が死亡しても代理権は消滅しない。
04 委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。
04 正しい 委任による代理権は、委任の終了によって消滅する。委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。よって、委任によって代理権を授与された者は、報酬を受ける約束をしている場合であっても、いつでも委任契約を解除して代理権を消滅させて、代理人を辞することができる。
代理人の権限濫用行為
05 AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人として甲土地をDに売却した場合、Dがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。
05 正しい 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。よって、Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人として甲土地をDに売却した場合、Dがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。
06 AがBの代理人として第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方Cがその目的を知っていたとしても、AC間の法律行為の効果はBに帰属する。
06 誤り 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ここより、AがBの代理人として第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合で、相手方Cがその目的を知っていたときは、無権代理として無効とみなされ、AC間の法律行為の効果はBに帰属しない。
07 民法は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方その目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」旨を規定している。
07 正しい 民法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方その目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する。
無権代理
08 AがBから何ら代理権を与えられていないにもかかわらずBの代理人と詐称してCとの間で法律行為をし、CがAにBの代理権があると信じた場合であっても、原則としてその法律行為の効果はBに帰属しない。
08 正しい 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。Aは代理権を有しないにもかかわらず、Bの代理人と詐称してCとの間で法律行為をしたものであり、その行為は無権代理として無効である。このとき、相手方において代理権があると信じたことで有効となるものではない。よって、その法律行為の効果はBに帰属しない。
09 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできない。
09 正しい 本人が無権代理行為の追認を拒絶すれば、無権代理行為は無効なものに確定する。よって、その後は、本人であっても、無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできない。
10 Bが、Aから代理権を授与されていないA所有の乙土地の売却につき、Aの代理人としてFと売買契約を締結した場合、AがFに対して追認の意思表示をすれば、Bの代理行為は追認の時からAに対して効力を生ずる。
10 誤り 無権代理の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。よって、Aが追認の意思表示をすれば、Bの代理行為は追認の時からではなく、契約の時からAに対して効力を生ずる。
11 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
11 正しい 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
無権代理と相続
12 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。
12 誤り 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合、無権代理行為は当然に有効になるものではない(最判H10.7.17)。一方、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合は、無権代理行為は当然に有効となる(最判S40.6.18)。よって、無権代理人が本人を相続したのが本人が追認拒絶をした後と前では、法律効果は異なる。
13 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。
13 誤り 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合、無権代理行為は当然に有効になるものではない(最判H10.7.17)。一方、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合は、無権代理行為は当然に有効となる(最判S40.6.18)。よって、無権代理人が本人を相続したのが本人が追認拒絶をした後と前では、法律効果は異なる。
14 本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。
14 正しい 本人が無権代理人を相続した場合、無権代理行為は当然に有効とならず、本人は追認を拒絶することができる(最判S37.4.20)。
表見代理
15 BがAに代理権を与えていないにもかかわらず代理権を与えた旨をCに表示し、Aが当該代理権の範囲内の行為をした場合、CがAに代理権がないことを知っていたとしても、Bはその責任を負わなければならない。
15 誤り 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。ここより、BがAに代理権を与えていないにもかかわらず代理権を与えた旨をCに表示し、Aが当該代理権の範囲内の行為をした場合、CがAに代理権がないことを知っていたときは、表見代理は成立せず、Bはその責任を負わない。
16 AがBに授与した代理権が消滅した後、BがAの代理人と称して、甲土地をEに売却した場合、AがEに対して甲土地を引き渡す責任を負うことはない。
16 誤り 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対して、第三者がその事実を知らなかったことにつき過失がある場合を除き、その責任を負う。よって、Aは、Eに対して甲土地を引き渡す責任を負うことがある。
17 BがAに与えた代理権が消滅した後にAが行った代理権の範囲内の行為について、相手方Cが過失によって代理権消滅の事実を知らなかった場合でも、Bはその責任を負わなければならない。
17 誤り 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない。ここより、BがAに与えた代理権が消滅した後にAが行った代理権の範囲内の行為について、相手方Cが過失によって代理権消滅の事実を知らなかった場合には、表見代理は成立せず、Bはその責任を負わない。
時効の援用
18 消滅時効の援用権者である「当事者」とは、権利の消滅について正当な利益を有する者であり、債務者のほか、保証人、物上保証人、第三取得者も含まれる。
18 正しい 時効を援用することができるのは、当事者である。ここにいう当事者には、消滅時効においては、債務者のほか、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。ここより、消滅時効の援用権者である「当事者」とは、権利の消滅について正当な利益を有する者といえ、債務者のほか、保証人、物上保証人、第三取得者も含まれるということができる。
時効障害(時効の完成猶予と更新)
19 AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した後に裁判上の和解が成立した場合には、当該金銭債務について、当該和解の成立までは時効の完成が猶予されるが、時効の更新の効力は生じない。
19 誤り 裁判上の請求、つまり訴えの提起があった後、確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、当該判決確定まで時効の完成は猶予される。そして、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、判決又は判決と同一の効力を有するものが確定した時から新たにその進行を始める。訴えの提起後に裁判上の和解が成立したことは、確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したといえる。訴えの提起後、和解成立まで時効の完成は猶予され、当該和解成立により時効の更新の効力が生じる。
20 AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した後に請求棄却の判決が確定した場合には、当該金銭債務について、時効の更新の効力は生じない。
20 正しい 裁判上の請求があれば、本来の時効期間満了時が到来しても、判決があるまでは時効は完成しない。そして、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定すれば、その確定した権利につき時効の更新があるが、判決が請求棄却判決である場合は、権利が存在しないことが判決により確定されたものであり、以後、時効は問題とならず、時効の更新の効力が生ずることはない。
21 AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した後に当該訴えが取り下げられた場合には、特段の事情がない限り、当該金銭債務について、訴え取り下げから6カ月を経過するまでは時効の完成が猶予されるが、時効の更新の効力は生じない。
21 正しい 裁判上の請求があり、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなく裁判が終了した場合には、その終了の時から6カ月を経過するまでの間は時効の完成は猶予される。よって、訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合には、その時から6カ月を経過するまでの間は時効の完成は猶予される。ただ、新たに時効が進行を始める時効の更新は、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときであるところから、訴えの取下げがあったときは、時効の更新はない。
22 AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した後に当該訴えの却下の判決が確定した場合には、当該金銭債務について、当該判決の確定後6カ月を経過するまでは時効の完成が猶予されるが、時効の更新の効力は生じない。
22 正しい 裁判上の請求があり、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなく裁判が終了した場合には、その終了の時から6カ月を経過するまでの間は時効の完成は猶予される。よって、訴えの提起後に当該訴えが却下された場合には、その時から6カ月を経過するまでの間は時効の完成は猶予される。ただ、新たに時効が進行を始める時効の更新は、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときであるところから、訴えの却下があったときは、時効の更新はない。
23 裁判上の請求をした場合、裁判が終了するまでの間は時効が完成しないが、当該請求を途中で取り下げて権利が確定することなく当該請求が終了した場合には、その終了した時から新たに時効の進行が始まる。
23 誤り 裁判上の請求は、時効の完成猶予事由である。よって、裁判上の請求があれば、その事由が終了するまで、すなわち裁判が終了するまでの間は、時効は完成しない。そして、確定判決等による裁判の終了は、時効の更新事由であり、裁判の終了した時から新たに時効の進行が始まる。ただ、請求の取下げがあり、確定判決等によって権利が確定せずに裁判が終了した場合にあっては、その終了の時から6カ月を経過するまでの間は時効が完成しないとの時効の完成猶予が認められるだけで、時効の更新は認められない。よって、請求の取下げにより裁判が終了しても、その終了した時から新たに時効の進行が始まるというものではない。
24 権利の承認があったときは、その時から新たに時効の進行が始まるが、権利の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要しない。
24 正しい 権利の承認は、時効の更新事由であり、承認の時から新たに時効の進行が始まる。この権利の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要しない。
25 夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効が完成しない。
25 正しい 婚姻の解消は、夫婦間の権利の消滅時効の時効完成猶予事由である。つまり、夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6カ月を経過するまでの間は、時効が完成しない。
取得時効
26 AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。Bが、甲土地の引渡しを受けた時点で所有の意思を有していたとしても、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったときは、その時点で所有の意思が認められなくなるので、Bは甲土地を時効により取得することはできない。
26 誤り 所有権を時効取得するためには、目的物を所有の意思をもって占有することが必要である。ここに所有の意思をもった占有(自主占有)かどうかは、占有取得の原因である事実の客観的性質によって定まり、売買を原因に占有を始めた者の占有は、自主占有となる。よって、売買を原因に甲土地の引渡しを受けたBは甲土地を自主占有するものであり、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったことで自主占有でなくなるものではなく、Bは甲土地を時効により取得することはできないというものではない。
27 AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。Bが甲土地をDに賃貸し、引き渡したときは、Bは甲土地の占有を失うので、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
27 誤り 占有権は、代理人によって取得することができる。ここより、Bが甲土地をDに賃貸し、引き渡しても、BはDを代理人として甲土地を占有するのであり、甲土地の占有を失うものではなく、甲土地の所有権を時効取得することはできないというものではない。
28 BがA所有の甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。
28 正しい 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。このとき、占有者の承継人は、自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。よって、Cは、自己の占有期間3年に加えBの占有期間17年を併せて主張し、20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者として、甲土地の所有権を時効取得することができる。
29 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失でA所有の甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。
29 正しい 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。このとき、占有者の承継人は、自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができるが、その場合、10年の取得時効の要件である善意無過失は前の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる(最判S53.3.6)。よって、Dは、悪意であっても、善意無過失で開始したAの3年間の占有を承継し、その後7年間占有したことで、占有開始時に善意無過失で10年間占有したものとして、甲土地の所有権を時効取得することができる。
30 Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失でA所有の甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
30 誤り 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。ここにおいて、占有の開始時において善意無過失であれば、その後悪意に転じても、取得時効の期間は10年であることに変わりはない。Dは、占有開始時に善意無過失であったものであり、その占有開始時から3年後に悪意に転じているが、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続すれば、占有開始時に善意無過失で10年間占有したものとして、甲土地の所有権を時効取得することができる。
31 AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。Bが、時効の完成前に甲土地の占有をEに奪われたとしても、Eに対して占有回収の訴えを提起して占有を回復した場合には、Eに占有を奪われていた期間も時効期間に算入される。
31 正しい 占有権は、占有者が占有物の所持を失うことによって消滅する。ただし、占有者が占有回収の訴えを提起したときは、この限りでない。ここから、Bが、甲土地の占有をEに奪われたとしても、Eに対して占有回収の訴えを提起して占有を回復した場合には、占有は継続していたことになり、Eに占有を奪われていた期間も時効期間に算入される。
消滅時効
32 Aが所有する甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。
32 正しい 所有権は、これを行使しなかったとしても、消滅時効にかかることはない。よって、Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。
33 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。
33 正しい 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには、時効によって消滅する。