営業保証金の供託
01 Aが甲県内に本店及び2つの支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、供託すべき営業保証金の合計額は1,200万円である。
01 誤り 供託すべき営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円の割合による金額の合計額である。よって、本店及び2つの支店を設置するAが供託すべき営業保証金の合計額は、1,200万円ではなく、2,000万円である。
02 宅地建物取引業者は、事業の開始後、新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出なければならない。
02 誤り 宅建業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。事業の開始後、新たに従たる事務所を設置したときも、その従たる事務所の最寄りの供託所ではなく、主たる事務所のもよりの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出なければならない。
03 宅地建物取引業保証協会の社員ではない宅地建物取引業者Aは甲県内にある主たる事務所とは別に、乙県内に新たに従たる事務所を設置したときは、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
03 正しい 宅建業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、当該事務所に係る営業保証金を供託しなければならない。このとき、供託する供託所は、主たる事務所の最寄りの供託所である。
04 営業保証金は、金銭による供託のほか、有価証券をもって供託することができるが、金銭と有価証券とを併用して供託することはできない。
04 誤り 営業保証金は、国債証券、地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券をもって、これに充てることができる。このとき、金銭と有価証券とを併用して供託することができる。
05 宅地建物取引業保証協会の社員ではない宅地建物取引業者Aは、金銭と有価証券を併用して供託することができ、有価証券のみで供託する場合の当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。
05 誤り 有価証券の価額は、国債証券はその額面金額の100分の100、地方債証券の場合はその額面金額の100分の90である。金銭と有価証券を併用して供託することができる点は、正しい。
06 有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券の場合はその額面金額の100分の90、地方債証券の場合はその額面金額の100分の80である。
06 誤り 有価証券を営業保証金に充てる場合における当該有価証券の価額は、国債証券についてはその額面金額、地方債証券についてはその額面金額の100分の90である。
営業保証金の供託済の届出
07 国土交通大臣から免許を受けた宅地建物取引業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該供託所から国土交通大臣にその旨が通知されるため、当該宅地建物取引業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要はない。
07 誤り 宅建業者は、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。そして、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。よって、国土交通大臣から免許を受けた宅建業者が、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託した場合、当該宅建業者は国土交通大臣にその旨を届け出る必要がある。
08 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託所の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。
08 正しい 宅建業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならず、この届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。よって、Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託所の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。
09 Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。
09 誤り 宅建業者は、事業の開始後新たに事務所を設置したときは、当該事務所につき政令で定める額の営業保証金を供託しなければならず、この供託をしたときはその旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出ることを要し、この届出をした後でなければ、その事業を開始してはならない。よって、Aは、新たに支店を設置し、当該支店に係る営業保証金を供託すれば当該支店での事業を開始することができるものではなく、供託した旨を甲県知事に届け出た後に当該支店での事業を開始することができる。
10 免許権者は、宅地建物取引業者が宅地建物取引業の免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならず、その催告が到達した日から1月以内に届出がないときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
10 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から3月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならない。この催告が到達した日から1月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を取り消すことができる。
11 宅地建物取引業者A(甲県知事免許を有し、宅地建物取引業保証協会の社員ではない。)が免許を受けた日から6か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から1か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができる。
11 誤り 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から3月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならず、この催告が到達した日から1月以内に宅建業者が営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その免許を取り消すことができる。ここより、甲県知事がAに対し営業保証金を供託した旨の届出をすべき旨の催告をするのは、Aが免許を受けた日から6か月以内ではなく、3か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないときである。
営業保証金の保管替え
12 宅地建物取引業保証協会の社員ではない宅地建物取引業者Aが主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。
12 誤り 宅建業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもつて営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。よって、金銭のみをもって営業保証金を供託しているAは、遅滞なく営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託するのではなく、現に営業保証金を供託している供託所に保管替えを請求しなければならない。
13 宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の主たる事務所の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。
13 誤り 宅建業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、この営業保証金の保管替えの請求はできず、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない。
営業保証金の還付
14 Aから建設工事を請け負った建設業者は、Aに対する請負代金債権について、営業継続中のAが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有する。
14 誤り 宅建業者と宅建業に関し取引をした者(宅建業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅建業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。建設工事を請け負った建設業者は、宅建業に関し取引をした者にあたらず、その請負代金債権について、Aが供託している営業保証金から弁済を受ける権利を有しない。
15 宅地建物取引業保証協会の社員ではない宅地建物取引業者Aの従業員が運転する車両で現場案内を受けた者が、Aの従業員の過失による交通事故でけがをした場合に取得する損害賠償請求権は、Aが供託した営業保証金の還付の対象債権となる。
15 誤り 宅建業者と宅建業に関し取引をした者(宅建業者に該当する者を除く。)は、その取引により生じた債権に関し、宅建業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。ここに宅建業の取引により生じた債権には不法行為債権も含むが、あくまで宅地建物取引に関連する宅建業者の不法行為による債権でなければならない。従業員が運転する車両で現場案内を受けた者が、当該従業員の過失による交通事故でけがをした場合の不法行為損害賠償請求権は、宅地建物取引に関連する不法行為債権にあたらない。よって、Aが供託した営業保証金の還付の対象債権とならない。
16 宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有するが、取引をした者が宅地建物取引業者に該当する場合は、その権利を有しない。
16 正しい 宅建業者と宅建業に関し取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、宅建業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。ただ、宅建業者と宅建業に関し取引をした者が宅建業者であるときは、営業保証金から弁済を受けることができない。
営業保証金の不足額の供託
17 Aは、営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
17 正しい 宅建業者は、還付により営業保証金が政令で定める額に不足することとなったときは、免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。よって、Aは、甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
18 営業保証金の還付により、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったため、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた宅地建物取引業者は、その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
18 正しい 宅建業者は、営業保証金の還付により、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったため、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けたときは、その送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。
19 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、30日以内に甲県知事にその旨を届け出なければならない。
19 誤り 宅建業者は、還付により法定額に不足するに至った営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、2間以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。よって、Aは、営業保証金の不足額を供託したときは、30日以内ではなく、2週間以内に甲県知事にその旨を届け出なければならない。
営業保証金の取戻し
20 宅地建物取引業者の代表者が、その業務に関し刑法第222条(脅迫)の罪により拘禁刑に処せられたことを理由に宅地建物取引業の免許を取り消された場合、当該宅地建物取引業者であった者は、当該刑の執行を終わった日から5年間は供託した営業保証金を取り戻すことができない。
20 誤り 免許を取り消されたときは、宅建業者であった者は、当該宅建業者であった者が供託した営業保証金を取り戻すことができる。このとき、免許取消事由を問わない。よって、宅建業者の代表者が、その業務に関し脅迫の罪により拘禁刑に処せられたことを理由に免許を取り消された場合、当該宅建業者であった者は、当該刑の執行を終わった日から5年間は供託した営業保証金を取り戻すことができないというものではない。
21 宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。
21 誤り 免許の有効期間が満了したときは、宅建業者であった者は、供託した営業保証金を取り戻すことができるが、このとき、当該営業保証金の還付請求権者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告しなければならず、公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことはできない。
22 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。
22 誤り 宅建業者は、その免許が失効すれば営業保証金を取り戻すことができるが、この場合、当該営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。よって、Aは、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、3か月ではなく、6か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。
23 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことができる。
23 誤り 宅建業者が一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金の額が所定の額を超えることとなったときは、その超過額について、当該宅建業者が供託した営業保証金を取り戻すことができる。この営業保証金の取りもどしは、当該営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかった場合でなければ、これをすることができない。ここより、宅建業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、公告をすることなく営業保証金を取り戻すことはできない。
24 保証協会の社員となった宅地建物取引業者が、保証協会に加入する前に供託していた営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対する公告をしなければならない。
24 誤り 営業保証金を供託していた宅建業者が保証協会の社員となったとき、供託していた営業保証金を取り戻すことができるが、この取戻しに当たっては、還付請求権者に対する公告を要しない。