損害賠償額の予定・違約金の制限
43 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBを買主とする土地付建物の売買契約(代金3,200万円)を締結する場合、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を400万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた場合、当該特約は無効となる。
43 誤り 宅建業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2をこえることとなる定めをしてはならない。代金3,200万円の10分の2は、650万円である。よって、損害賠償の予定額を400万円とし、かつ、違約金の額を240万円とする特約を定めた場合、当該特約は有効である。
44 販売代金2,500万円の宅地について、宅地建物取引業者Aが自ら売主となる売買契約の締結を行い、損害賠償額の予定及び違約金の定めをする場合、その合計額を500万円と設定することができる。
44 正しい 宅建業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2をこえることとなる定めをしてはならない。ここより、宅地の売買に係損害賠償額の予定及び違約金の合計額500万円は、販売代金2,500万円の10分の2であり、10分の2をこえていないところから、設定することができる。
45 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBを買主とする土地付建物の売買契約(代金3,200万円)を締結し、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を定めていない場合、債務の不履行による損害賠償の請求額は売買代金の額の10分の2を超えてはならない。
45 誤り 宅建業法は、損害賠償の予定額を定めていない場合に債務の不履行による損害賠償の請求額についての制限を定めていない。よって、実際に生じた損害につき賠償請求することができ、売買代金の額の10分の2を超えてはならないということはない。
46 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額についての特約を、代金の額の10分の2を超えて定めた場合、当該特約は全体として無効となる。
46 誤り 宅建業者がみずから売主となる建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定するときは、その額が代金の額の10分の2をこえることとなる定めをしてはならない。これに反する特約は、代金の額の10分の2をこえる部分について、無効とする。特約が全体として無効となるものではない。
手付の額の制限等
47 AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。
47 正しい 宅建業者が、自ら売主となる建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、当該宅建業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができるが、相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。よって、Aは、Bが履行に着手した後においては、契約を解除することはできない。
48 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合において、Aは、あらかじめBの承諾を書面で得た場合に限り、売買代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができる。
48 誤り 宅建業者は、自ら売主となる建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することができない。これに反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。ここより、Aは、あらかじめBの承諾を書面で得ても、売買代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することはできない。
49 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約に際して手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。
49 正しい 宅建業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、買主はその手付を放棄して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。ここより、Aが手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、Aが契約の履行に着手するまでの間、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。
50 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約において、Aが手付金を受領している場合、Bが契約の履行に着手する前であっても、Aは、契約を解除することについて正当な理由がなければ、手付金の倍額を償還して契約を解除することができない。
50 誤り 手付金を受領した宅建業者は、相手が履行に着手する前にその倍額を償還することで、正当理由なしに契約の解除をすることができる。よって、Aは、Bが契約の履行に着手する前であれば、正当な理由がなくても、手付金の倍額を償還して契約を解除することができる。
担保責任についての特約の制限
51 Aが宅地建物取引業者ではないEとの間で締結する建物の売買契約において、Aは当該建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約を定めた場合、この特約は無効となり、Aが当該責任を負う期間は当該建物の引渡日から2年となる。
51 誤り 宅建業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は、無効である。民法566条は、「売主は、一定期間、不適合を担保すべき責任を負う」ことを予定している。ここより、Aが不適合を担保すべき責任を一切負わないとする特約は民法566条に規定するものより買主に不利となる特約といえ無効である。特約が無効であれば、民法566条の規定が適用される。民法566条は、売主が当該責任を負う期間について目的物の引渡日から2年とは定めていない。よって、Aが当該責任を負う期間は、当該建物の引渡日から2年となるものではない。
52 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する宅地の売買契約において、当該宅地の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し契約不適合がある旨を売主に対して通知すべき期間を、Bがその不適合を知った時から2年とする特約を定めた場合、この特約は有効である。
52 正しい 宅建業者は、自ら売主となる宅地の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は、無効である。民法566条は、契約不適合がある旨を売主に対して通知すべき期間について「買主がその不適合を知った時から1年以内」と定めている。よって、この期間を「買主がその不適合を知った時から2年」とする特約は、民法566条に規定するものより買主に有利な特約といえ、有効である。
53 宅地建物取引業者Aが、自ら売主となる土地付建物の売買契約を締結する場合において、買主との間で、「売主は、売買物件引渡しの日から1年間に限り当該物件の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保する責任を負う」とする旨の特約を設けることができる。
53 誤り 宅建業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。これに反する特約は、無効とする。民法566条は、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、不適合を担保する責任を問うことができない旨を定める。「売主は、売買物件引渡しの日から1年間に限り当該物件の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保する責任を負う」特約は、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しても、引渡しの日から1年を経過すれば担保責任を問うことができなくなるというものであり、民法566条が規定するものより買主に不利となる特約であり、設けることはできない。
54 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、損害賠償の請求期間を当該宅地又は建物の引渡しの日から1年とする特約は、有効である。
54 誤り 宅建業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。これに違反する特約は、無効である。民法566条は、買主は、不適合を知った時から1年以内に通知しないときは、担保すべき責任を追及することができなくなる旨を規定する。ここより、引渡しの日から1年以内に不適合を売主である宅建業者に通知ないときは、買主は損害賠償の請求ができなくなる特約は、民法566条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約にあたらない。そして、民法566条に規定するものより買主に不利となる特約といえる。よって、買主が同意した場合であっても、有効に定めることはできない。
割賦販売契約の解除等の制限
55 法第35条第2項の規定による割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後6か月以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
55 誤り 割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
56 AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。
56 誤り 宅建業者は、みずから売主となる建物の割賦販売の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合においては、30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約の解除をすることはできない。よって、Aは、Bからの賦払金が支払期日までに支払われなかった場合、直ちに当該契約を解除することができるものではない。
手付金等の保全
57 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約において、Aが手付金として200万円を受領しようとする場合、Aは、Bに対して書面で法第41条に定める手付金等の保全措置を講じないことを告げれば、当該手付金について保全措置を講じる必要はない。
57 誤り 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から代金の5%を超える額の手付金等を受領してはならない。このとき、手付金等の保全措置を講じないことを告げたとしても、なお保全措置を講ずる必要がある。よって、Aは、手付金として200万円を受領しようとする場合、代金3,000万円の5%を超える手付金を受領しようとする者であり、手付金等の保全措置を講じないことを告げるとしても、当該手付金について保全措置を講じる必要がある。
58 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、Bから保全措置が必要とされる額の手付金の交付を受ける場合、Aは、当該手付金を受領した後に、速やかに手付金の保全措置を講じなければならない。
58 誤り 宅建業者は、宅地の売買で自ら売主となるものに関しては、手付金の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。よって、Aは、Bから手付金を受領した後に、速やかに手付金の保全措置を講じなければならないというものではない。
59 Aが宅地建物取引業者Dとの間で造成工事の完了後に締結する宅地(代金3,000万円)の売買契約においては、Aは、法第41条の2に定める手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
59 正しい 宅建業者は、宅地の造成に関する工事の完了後において行う当該工事に係る宅地の売買で自ら売主となるものに関しては、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から一定金額を超える手付金等を受領してはならないが、この規制は買主が宅建業者である場合には適用されない。よって、Aは、買主Dが宅建業者であるところから、手付金等の保全措置を講じないで、当該宅地の引渡し前に手付金800万円を受領することができる。
60 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、売買代金の10分の2の額を手付金として定めた場合、Aが手付金の保全措置を講じていないときは、Bは手付金の支払を拒否することができる。
60 正しい 建築工事完了前の建物の売買において、宅建業者は、代金の額の5%を超える額の手付金等を受領するにあたっては、手付金等の保全措置を講ずる必要がある。この保全措置を講じないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。よって、売買代金の10分の2の額を手付金として定めた場合、Aが手付金の保全措置を講じていないときは、Bは手付金の支払を拒否することができる。
61 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で、土地付建物を4,000万円で売却する売買契約(所有権の登記は当該土地付建物の引渡し時に行うものとする。)を締結した。当該土地付建物の引渡し前に、BはAに対して2,000万円を中間金として支払う契約になっていたが、Aがその中間金について保全措置を講じていないときは、Bはこの中間金の支払いを拒むことができる。
61 正しい 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、保全措置を講じた後でなければ、手付金等で代金の額の100分の5又は1,000万円を超えるものを買主から受領してはならない。宅建業者が、講ずべき保全措置を講じないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。以上より、1,000万円を超える中間金2,000万円について、Aが保全措置を講じていないときは、Bはこの中間金の支払いを拒むことができる。
62 AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Bから200万円の手付金を受領してはならない。
62 誤り 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金を受領してはならないが、受領しようとする手付金等の額が代金の額の100分の5以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、この限りでない。手付金200万円は、代金5,000万円の100分の5以下であり、かつ、1,000万円以下である。よって、Aは、手付金等の保全措置を講ずることなく、Bから200万円の手付金を受領することができる。
63 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBを買主として土地付建物の工事の完了前に当該土地付建物の売買契約(代金3,200万円)を締結した場合、Aは、宅地建物取引業法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなくても手付金100万円、中間金60万円を受領することができる。
63 正しい 宅建業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、当該宅建業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の100分の5以下であり、かつ、1,000万円以下であるときは、この限りでない。代金3,200万円の100分の5は、160万円である。よって、Aは、保全措置を講じなくても手付金100万円、中間金60万円を受領することができる。
64 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で、土地付建物を4,000万円で売却する売買契約(所有権の登記は当該土地付建物の引渡し時に行うものとする。)を締結した。当該建物が工事完了前の建物である場合、Aは、保全措置を講じずにBから手付金300万円を受領することができる。
64 誤り 宅建業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、保全措置を講じた後でなければ、買主から代金の額の100分の5又は1,000万円を超える手付金を受領してはならない。手付金300万円は、代金4,000万円の10分の5に相当する200万円を超えるものであり、保全措置を講じなければ受領することができない。
65 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約において、Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として50万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額200万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じれば、当該中間金を受領することができる。
65 正しい 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関して手付金等を受領するときは、既に受領した手付金等の額を加えた額が代金の5%又は1,000万円を超えることになれば、その合計額について手付金等の保全措置を講ずる必要がある。よって、Aは、中間金として50万円を受領しようとする場合、既に受領した手付金150万円を加えると合計200万円の手付金等を受領することになり、代金3,000万円の5%に相当する150万円を超えることになるが、200万円につき手付金等の保全措置を講じれば、中間金50万円を受領することができる。
66 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で締結する建築工事完了前のマンション(代金3,000万円)の売買契約において、Aが150万円を手付金として受領し、さらに建築工事完了前に中間金として500万円を受領しようとする場合、Aは、手付金と中間金の合計額650万円について法第41条に定める手付金等の保全措置を講じたとしても、当該中間金を受領することができない。
66 誤り 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関して手付金等を受領するときは、既に受領した手付金等の額を加えた額が代金の5%又は1,000万円を超えることになれば、その合計額について手付金等の保全措置を講ずる必要がある。よって、Aは、中間金として500万円を受領しようとする場合、既に受領した手付金150万円を加えると合計650万円の手付金等を受領することになり、代金3,000万円の5%に相当する150万円を超えることになるが、650万円について手付金等の保全措置を講じれば、中間金500万円を受領することができる。
67 Aが宅地建物取引業者ではないCとの間で建築工事の完了前に締結する建物(代金5,000万円)の売買契約においては、Aは、手付金200万円を受領した後、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じなければ、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領することができない。
67 正しい 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、手付金等の保全措置を講じた後でなければ、代金の100分の5を超える額の手付金等、つまり手付金や中間金を受領してはならない。このとき、既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額により、代金の100分の5を超えるか否かを判断する。そこで、Aが手付金200万円を受領した後に中間金300万円を受領するときは、500万円の手付金等を受領することになり、代金5,000万円の100分の5を超える額の手付金等を受領することになる。よって、Aは、手付金等の保全措置を講じなければ、当該建物の引渡し前に中間金300万円を受領することができない。
68 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で、土地付建物を4,000万円で売却する売買契約(所有権の登記は当該土地付建物の引渡し時に行うものとする。)を締結した。当該建物が建築工事の完了後の建物である場合、AがBから手付金100万円を受領する際には保全措置は不要であるが、その後、当該土地付建物を引き渡す前に中間金400万円を受領するためには、手付金100万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。
68 正しい 宅建業者は、建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る建物の売買で自ら売主となるものに関しては、保全措置を講じた後でなければ、手付金等(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)で代金の額の100分の5又は1,000万円を超えるものを買主から受領してはならない。ここから、代金4,000万円の10分の5に相当する200万円以下である100万円の手付金を受領する際には保全措置は不要である。しかし、その後、当該土地付建物を引き渡す前に中間金400万円を受領するときは、既に受領している手付金100万円と合わせて500万円となり、代金4,000万円の10分の5に相当する200万円をこえることになるところから、手付金100万円と合わせて保全措置を講じた後でなければ、その中間金を受領することができない。
69 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、Aは、保険事業者との間において保証保険契約を締結すればよく、保険証券をBに交付する必要はない。
69 誤り 手付金等の保全措置の一つとして、保険事業者と保証保険契約を締結し、かつ、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付するというものがある。よって、Aは、保険事業者との間において保証保険契約を締結しただけでは足りず、保険証券をBに交付する必要がある。
70 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、Aは、保険期間は保証保険契約が成立した時から宅地建物取引業者が受領した手付金に係る宅地の引渡しまでの期間とすればよい。
70 正しい 手付金等の保全措置の一つとして、保険事業者と保証保険契約を締結し、かつ、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付するというものがある。ここにいう保証保険契約は、その保険期間が、少なくとも保証保険契約が成立した時から宅建業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であることを要する。よって、Aは、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険期間は保証保険契約が成立した時から宅建業者が受領した手付金に係る宅地の引渡しまでの期間とすればよい。
71 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建築工事完了前の建物の売買契約を締結する場合において、AがBから保全措置が必要となる額の手付金を受領する場合、Aは、事前に、国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付した後でなければ、Bからその手付金を受領することができない。
71 誤り 建築工事完了前の建物の売買における手付金等の保全措置としては、①銀行等との間において、保証委託契約を締結し、かつ、当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付することと、②保険事業者との間において、保証保険契約を締結し、かつ、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付することの2種類がある。よって、Aは、このいずれかを講じた後でなければ、Bからその手付金を受領することができない。国土交通大臣が指定する指定保管機関と手付金等寄託契約を締結し、かつ、当該契約を証する書面を買主に交付することは、建築工事完了後の建物の売買における保全措置であり、これを講じても、Aは、Bからその手付金を受領することはできない。
72 保証協会は、手付金等保管事業について国土交通大臣の承認を受けた場合、社員が売主となって行う宅地又は建物の売買で、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前における買主からの手付金等の受領について、当該事業の対象とすることができる。
72 誤り 宅建業者は、宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、一定の保全措置を講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。指定保管機関による手付金等の保管は、この手付金等の保全措置の一つにあたる。保証協会は、あらかじめ国土交通大臣の承認を受けて手付金等保管事業を行うことができるところから、手付金等の指定保管機関となることができる。ただ、この指定保管機関による手付金等の保管は、工事完了後の宅地又は建物の売買における保全措置であり、工事完了前の宅地又は建物の売買における保全措置にあたらない。よって、保証協会は、社員が売主となって行う宅地又は建物の売買で、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前における買主からの手付金等の受領について、手付金等保管事業の対象とすることはできない。
73 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結し、手付金の保全措置を保証委託契約を締結することにより講ずるときは、Aは、保証委託契約に基づいて銀行等が手付金の返還債務を連帯して保証することを約する書類のBへの交付に代えて、Bの承諾を得ることなく電磁的方法により講ずることができる。
73 誤り 手付金等の保全措置の一つとして、銀行等との間において保証委託契約を締結し、かつ、当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付するというものがある。ここにいう保証することを約する書面の交付する措置に代えて、買主の承諾を得て、一定の電磁的方法を講じることができる。ここより、Aは、Bの承諾を得ることなく、保証することを約する書類の交付に代えて電磁的方法により講ずることはできない。
割賦販売における所有権留保等の禁止
74 法第35条第2項の規定による割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後6か月以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
74 誤り 割賦販売とは、代金の全部又は一部について、目的物の引渡し後1年以上の期間にわたり、かつ、2回以上に分割して受領することを条件として販売することをいう。
75 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではないBを買主とする土地付建物の割賦販売の契約(代金3,200万円)を締結し、当該土地付建物を引き渡した場合、Aは、Bから800万円の賦払金の支払を受けるまでに、当該土地付建物に係る所有権の移転登記をしなければならない。
75 誤り 宅建業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なった場合には、当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の10分の3をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあっては、代金の額の10分の3をこえる額の金銭の支払を受けるまでに、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。代金3,200万円の10分の3は、960万円である。よって、Aは、Bから800万円ではなく、960万円の賦払金の支払を受けるまでに、当該土地付建物に係る所有権の移転登記をしなければならない。
76 宅地建物取引業者Aが自ら売主となり建物の割賦販売を行った場合、当該建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の10分の3を超える額の支払を受けた後は、担保の目的で当該建物を譲り受けてはならない。
76 正しい 宅建業者は、みずから売主として建物の割賦販売を行なつた場合において、当該割賦販売に係る建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の10分の3をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該建物を譲り受けてはならない。