宅建業者の一般義務
01 宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならないと法に定められている。
01 正しい 宅建業法31条の2は、「宅建業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない」と規定している。
02 犯罪による収益の移転防止に関する法律において、宅地建物取引業のうち、宅地若しくは建物の売買契約の締結又はその代理若しくは媒介が特定取引として規定されている。
02 正しい 犯罪による収益の移転防止に関する法律において、宅建業者は同法にいう特定事業者に該当し、宅建業のうち、宅地若しくは建物(建物の一部を含む。)の売買又はその代理若しくは媒介に係るものは、同法にいう特定取引に当たる。同法により、宅建業者は、特定取引に際し、本人確認等の義務を負い、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか等について判断し、その疑いがあると認められる場合においては、速やかに、一定事項を行政庁に届け出なければならないとされている。
宅建士の一般義務
03 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用を害するような行為をしてはならず、信用を害するような行為には、宅地建物取引士の職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。
03 正しい 宅建士は、宅建士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。信用を害するような行為とは、宅地建物取引士の職責に反し、または職責の遂行に著しく悪影響を及ぼすような行為で、宅建士としての職業倫理に反するような行為であり、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。
04 宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用又は品位を害するような行為をしてはならず、この行為には宅地建物取引士としての職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。
04 正しい 宅建士は、宅建士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。宅建士の信用を傷つけるような行為とは、宅建士の職責に反し、または職責の遂行に著しく悪影響を及ぼすような行為で、宅建士としての職業倫理に反するような行為であり、職務として行われるものに限らず、職務に必ずしも直接関係しない行為や私的な行為も含まれる。
05 宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
05 正しい 宅建士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
規制対象となる媒介契約
06 宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者BからB所有の建物の売却を依頼され、Bと一般媒介契約を締結した後、1年を経過しても当該物件を売却できなかったため、Bは売却をあきらめ、当該物件を賃貸することにした。そこでBはAと当該物件の貸借に係る一般媒介契約を締結したが、当該契約の有効期間を定めなかった。宅地建物取引業法の規定に違反しない。
06 正しい 貸借の媒介契約においては、有効期間等の一定事項を記載した書面(媒介契約書面)を作成・交付する義務はない。媒介契約に係る書面を作成するにあたっても、記載事項等の規制はない。よって、貸借の媒介契約を締結した宅建業者が作成した媒介契約に係る書面に有効期間を定めなかったとしても、宅建業法に違反しない。
07 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の既存のマンションの売却に係る媒介を依頼され、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。Bが宅地建物取引業者である場合、Aは、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況の報告をする必要はない。
07 誤り 専任媒介契約を締結した宅建業者は、依頼者が宅建業者であっても、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を報告しなければならない。
媒介契約書面の作成・交付
08 宅地建物取引業者AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AはBに対して、遅滞なく、宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならない。
08 正しい 宅建業者は、宅地の売買の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、一定事項を記載した書面を作成して、依頼者にこれを交付しなければならない。ここより、Aは、一般媒介契約を締結した場合、Bに対して、遅滞なく、宅建業法34条の2.1項の規定に基づく書面を交付しなければならない。
09 宅地建物取引業者Aは、BからB所有の土地付建物の売却について媒介の依頼を受けた。Aが、当該土地付建物の購入の媒介をCから依頼され、Cとの間で一般媒介契約を締結した場合、Aは、買主であるCに対しては、必ずしも法第34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなくともよい。
09 誤り 一般媒介契約であっても、また媒介の依頼者が買主であっても、宅建業者は媒介契約に係る書面を作成し、これを依頼者に交付する必要がある。よって、Aは、購入の媒介を依頼された買主であるCに対し、必ず媒介契約に係る書面を交付しなければならない。
10 売買の一般媒介契約を締結したAは、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に、宅地建物取引士をして記名押印させなければならない。
10 誤り 34条の2.1項の書面への記名押印は、宅建業者が行う。よって、Aは、宅建士をして記名押印させる必要はない。
媒介契約書面記載事項
11 宅地建物取引業者Aは、BからB所有の土地付建物の売却について媒介の依頼を受けた。Aは、Bとの間で締結した媒介契約が一般媒介契約である場合には、専任媒介契約の場合とは異なり、法第34条の2第1項の規定に基づく書面に、売買すべき価額を記載する必要はない。
11 誤り 一般媒介契約か専任媒介契約かを問わず、宅建業者は媒介契約に係る書面を作成し、当該書面に売買すべき価額を記載しなければならない。よって、Aは、売買すべき価額を記載する必要がある。
12 BとB所有の中古住宅の売却の専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した宅地建物取引業者Aは、法第34条の2第1項の規定に基づく書面の交付後、速やかに、Bに対し、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。
12 誤り 当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項は、媒介契約書面の記載事項である。Aは、媒介契約書面に建物状況調査を実施する者のあっせんの有無を記載すれば足り、当該書面の交付後、速やかに、Bに対し、建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認する必要はない。
13 住宅の売買の一般媒介契約を締結したAは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
13 正しい 媒介契約の有効期間及び解除に関する事項は、34条の2.1項の書面の記載事項にあたる。よって、Aは、媒介契約の有効期間及び解除に関する事項を34条の2.1項の書面に記載しなければならない。
14 BとB所有の中古住宅の売却の専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した宅地建物取引業者Aは、Bが他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。
14 正しい 専任媒介契約とは、依頼者が他の宅建業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。この専任媒介契約を締結した宅建業者は、交付すべき媒介契約書面に依頼者が宅建業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結したときの措置を記載しなければならない。よって、Aは、Bが他の宅建業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を媒介契約書面に記載しなければならない。
15 宅地建物取引業者AがBとの間で一般媒介契約を締結し、当該契約において、Bが他の宅地建物取引業者に重ねて依頼するときは当該他の宅地建物取引業者を明示する義務がある旨を定める場合、Aは、Bが明示していない他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を宅地建物取引業法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
15 正しい 依頼者が他の宅建業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを許し、かつ、他の宅建業者を明示する義務がある媒介契約にあっては、依頼者が明示していない他の宅建業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置は、宅建業法34条の2.1項の規定に基づき交付すべき書面の記載事項である。よって、Aは、この措置について宅建業法34条の2.1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
16 Aは、Bとの間で媒介契約を締結したときは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項の規定に基づき交付すべき書面に記載しなければならない。
16 正しい 宅建業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定事項を記載した書面(媒介契約書面)を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。この書面には、媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を記載しなければならない。よって、Aは、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、媒介契約書面に記載しなければならない。
17 BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した宅地建物取引業者Aは、Bが宅地建物取引業者である場合は、当該契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を、法第34条の2第1項に規定する書面に記載する必要はない。
17 誤り 当該媒介契約が国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別は、法第34条の2第1項に規定する書面(媒介契約書面)の記載事項であり、記載する必要がある。
18 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の既存のマンションの売却に係る媒介を依頼され、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。AがBに対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行う場合、建物状況調査を実施する者は建築士法第2条第1項に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。
18 正しい 建物状況調査を実施する者は、建築士法2条1項に規定する建築士であり、かつ、国土交通大臣が定める講習を修了した者であることを要する。
19 建物状況調査とは、建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。
19 正しい 建物状況調査とは、建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。
20 宅地建物取引業者が建物状況調査を実施する者のあっせんを行う場合、建物状況調査を実施する者は建築士法第2条第1項に規定する建築士であって、国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。
20 正しい 建物状況調査を実施する者は、建築士法2条1項に規定する建築士であり、かつ、国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。
21 Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した宅地建物取引業者Aは、Bが当該中古住宅について、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合は、同項に規定する書面に同調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載する必要はない。
21 誤り 当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項は、法第34条の2第1項に規定する書面(媒介契約書面)の記載事項である。よって、Bがあっせんを希望しなかった場合でも、記載する必要がある。
22 既存住宅の売買の媒介について、宅地建物取引業者Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
22 正しい 建物状況調査を実施する者のあっせんは、媒介業務の一環であるため、宅建業者は、依頼者に対し建物状況調査を実施する者をあっせんした場合において、報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
23 既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
23 正しい 建物状況調査を実施する者のあっせんは媒介業務の一環として行うものといえ、媒介報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
申込みの報告義務
24 BとB所有の中古住宅の売却の専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した宅地建物取引業者Aは、当該中古住宅について購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならないが、Bの希望条件を満たさない申込みだとAが判断した場合については報告する必要はない。
24 誤り 媒介契約を締結した宅建業者は、当該媒介契約の目的物である建物の売買の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。ここより、Aは、購入の申込みがあれば、Bの希望条件を満たさない申込みだと判断した場合であっても、報告する必要がある。
価額について意見を述べる際の根拠の明示
25 宅地建物取引業者AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該宅地の価額について意見を述べるときは、不動産鑑定士に評価を依頼して、その根拠を明らかにしなければならない。
25 誤り 宅建業者は、宅地を売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。このとき、価格査定マニュアル等によって根拠を明らかにすれば足り、不動産鑑定士に評価を依頼することまでは求められていない。よって、Aは、宅地の価額について意見を述べるときに、不動産鑑定士に評価を依頼して、その根拠を明らかにする必要はない。
26 甲住宅の売買の一般媒介契約を締結したAは、甲住宅の価額について意見を述べる場合、Bに対してその根拠を口頭ではなく書面で明示しなければならない。
26 誤り 宅建業者は、価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、その方法について制限はない。よって、Aは、根拠を書面に限らず口頭で明示することもできる。
27 AがBとの間で一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもよい。
27 正しい 売買の媒介契約を締結した宅建業者は、売買の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。よって、Aは、一般媒介契約を締結した場合、Bに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。ただ、根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもよい。
28 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却を依頼され、Bと専属専任媒介契約を締結した。AがBに対し当該宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないが、根拠の明示は口頭でも書面を用いてもどちらでもよい。
28 正しい 宅建業者は、売買の媒介に係る宅地の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。ただ、書面による明示までは求められていない。よって、Aが宅地の価額又は評価額について意見を述べるときの根拠の明示は、口頭でも書面を用いてもどちらでもよい。
29 宅地建物取引業者Aは、BからB所有の土地付建物の売却について媒介の依頼を受けた。Aが、Bと一般媒介契約を締結した場合、AがBに対し当該土地付建物の価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。
29 正しい 根拠の明示は、法律上の義務であるので、そのために行った価額の査定等に要した費用は、依頼者に請求できない。よって、Aは、価額について意見を述べるために行った価額の査定に要した費用をBに請求することはできない。