宅建業法19/監督処分・罰則(32肢)

監督処分の種類と処分権者

01 宅地建物取引業者A(国土交通大臣免許)が甲県内における業務に関し、法第37条に規定する書面を交付していなかったことを理由に、甲県知事がAに対して業務停止処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。

01 誤り 国土交通大臣がその免許を受けた宅建業者に一定の事由により監督処分を行うにあたり内閣総理大臣と協議するという取扱いはあるが、都道府県知事が国土交通大臣の免許を受けた宅建業者に対し監督処分を行うにあたり内閣総理大臣と協議するという取扱いはない。


02 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)で専任の宅地建物取引士として従事しているB(甲県知事登録)が、勤務実態のない宅地建物取引業者C(乙県知事免許)において、自らが専任の宅地建物取引士である旨の表示がされていることを許した場合には、乙県知事は、Bに対し、必要な指示をすることができる。

02 正しい 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅建士が宅建業者に自己が専任の宅建士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅建士である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたときにおいては、当該宅建士に対し、必要な指示をすることができる。乙県知事免許を受けている宅建業者Cは、乙県内にのみ事務所を有しているはずである。そこで、宅建者Aで専任の宅建士として従事しているB(甲県知事登録)が、宅建業者Cにおいて、自らが専任の宅建士である旨の表示がされていることを許した場合、乙県知事は、乙県内の区域において他の都道府県知事である甲県知事の登録を受けている宅建士Bが宅建業者Cに自己が専任の宅建士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅建士である旨の表示をすることを許したものとして、Bに対し、必要な指示をすることができる。


03 甲県知事は、宅地建物取引士に対して必要な報告を求めることができるが、その対象は、甲県知事登録の宅地建物取引士であって、適正な事務の遂行を確保するために必要な場合に限られる。

03 誤り 都道府県知事は、その登録を受けている宅建士及び当該都道府県の区域内でその事務を行う宅建士に対して、宅建士の事務の適正な遂行を確保するため必要があると認めるときは、その事務について必要な報告を求めることができる。ここより、甲県知事は、宅建士の事務の適正な遂行を確保するため必要があるときに限り報告を求めることができるが、その対象は甲県知事登録の宅建士に限られるというものではない。

免許権者による業務停止処分の事由

04 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができ、業務の停止の処分に違反した場合、免許を取り消さなければならない。

04 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が業務の停止の処分に違反したときは、当該免許を取り消さなければならない。

免許取消処分事由

05 宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う視点の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより拘禁刑の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。

05 誤り 法人である宅建業者において、その政令で定める使用人が拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するに至ったときは、当該法人の免許は取り消される。支店の代表者は、ここにいう政令で定める使用人にあたる。よって、A社の使用人であって、A社の宅建業を行う支店の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより拘禁刑の刑に処せられたときは、A社の免許は取り消される。


06 宅地建物取引業者である個人Cが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Cの免許は取り消されることはない。

06 誤り 個人である宅建業者が一定の犯罪により罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するに至ったときは、当該個人の免許は取り消される。ここにいう一定の犯罪に宅建業法違反は含まれる。よって、個人Cが、宅建業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられれば、Cの免許は取り消される。


07 宅地建物取引業者D社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、D社の免許は取り消されることはない。

07 誤り 法人である宅建業者において、その役員が一定の犯罪により罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するに至ったときは、当該法人の免許は取り消される。非常勤の取締役は、ここにいう役員にあたる。そして、ここにいう一定の犯罪に刑法第222条(脅迫)の罪は含まれる。よって、D社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられれば、D社の免許は取り消される。


08 宅地建物取引業者B社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。

08 正しい 法人である宅建業者において、その役員が一定の犯罪により罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するに至ったときは、当該法人の免許は取り消される。取締役は、ここにいう役員にあたる。ただ、ここにいう一定の犯罪に所得税法違反は含まれない。よって、B社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。


09 丙県知事は、宅地建物取引業者C(丙県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。

09 正しい 都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が免許を受けてから年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。


10 宅地建物取引業者E(丁県知事免許)が引き続いて1年以上事業を休止したときは、丁県知事は免許を取り消さなければならない。

10 正しい 宅建業者が引き続いて1年以上事業を休止したことは、必要的免許取消事由である。よって、Eが引き続いて1年以上事業を休止したときは、丁県知事は免許を取り消さなければならない。


11 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、不正に手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。

11 正しい 不正に手段により免許を受けたことは、必要的免許取消事由である。よって、Aが、不正に手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。


12 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができ、業務の停止の処分に違反した場合、免許を取り消さなければならない。

12 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が法第65条第1項の規定による指示に従わない場合、1年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が業務の停止の処分に違反したときは、当該免許を取り消さなければならない。


13 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、法第3条の2第1項の規定により付された条件に違反したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。

13 誤り 免許に付された条件に違反したことは、裁量的(任意的)免許取消事由である。よって、Aが、付された条件に違反したときは、甲県知事はAの免許を取り消すことができるのであり、取り消さなければならないというものではない。


14 宅地建物取引業者E(丙県知事免許)の免許の更新に当たって、丙県知事は宅地建物取引業法第3条の2に基づき条件を付すことができ、Eが免許の更新に当たって付された条件に違反したときは、丙県知事はEの免許を取り消すことができる。

14 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許の更新に条件を付すことができる。国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が免許の更新に付された条件に違反したときは、当該宅建業者の免許を取り消すことができる。


15 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できないときは、その事実を公告し、その公告の日から2週間を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、免許を取り消すことができる。

15 誤り 国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者の事務所の所在地を確知できないときは、官報又は当該都道府県の公報でその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても当該宅建業者から申出がないときは、当該宅建業者の免許を取り消すことができる。公告の日から2週間を経過しても申出がないときに免許を取り消すことができるというものではない。

宅建士に対する指示処分事由

16 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)で専任の宅地建物取引士として従事しているB(甲県知事登録)が、勤務実態のない宅地建物取引業者C(乙県知事免許)において、自らが専任の宅地建物取引士である旨の表示がされていることを許した場合には、乙県知事は、Bに対し、必要な指示をすることができる。

16 正しい 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅建士が宅建業者に自己が専任の宅建士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅建士である旨の表示をすることを許し、当該宅建業者がその旨の表示をしたときにおいては、当該宅建士に対し、必要な指示をすることができる。乙県知事免許を受けている宅建業者Cは、乙県内にのみ事務所を有しているはずである。そこで、宅建者Aで専任の宅建士として従事しているB(甲県知事登録)が、宅建業者Cにおいて、自らが専任の宅建士である旨の表示がされていることを許した場合、乙県知事は、乙県内の区域において他の都道府県知事である甲県知事の登録を受けている宅建士Bが宅建業者Cに自己が専任の宅建士として従事している事務所以外の事務所の専任の宅建士である旨の表示をすることを許したものとして、Bに対し、必要な指示をすることができる。


17 宅地建物取引士は、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義で宅地建物取引士である旨の表示をしたときは、法第68条の規定に基づく処分の対象となるが、当該他人が宅地建物取引士の登録を受けた者であるときはこの限りでない。

17 誤り 宅建士は、他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して宅建士である旨の表示をしたときは、法第68条の規定に基づく処分、すなわち指示又は事務禁止の処分の対象となる。このとき、自己の名義の使用を許した他人が宅建士の登録を受けた者であるときであっても、処分を免れることはない。

登録消除処分事由

18 宅地建物取引士は、自ら役員を務める宅地建物取引業者が宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いことにより免許を取り消された場合、宅地建物取引士の登録を消除されることとなる。

18 正しい 法人の宅建業者が宅建業に関し不正な行為をし、情状が特に重いことにより免許を取り消された場合、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前60日以内にその法人の役員であった宅建士で当該取消しの日から5年を経過しないものに該当するに至ったときは、その登録を消除される。ここより、宅建士は、自ら役員を務める宅建業者が宅建業に関し不正な行為をし、情状が特に重いことにより免許を取り消された場合、宅建士の登録を消除されることとなる。


19 宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けた場合においては、その登録をしている都道府県知事は、情状が特に重いときは、当該宅地建物取引士の登録を消除することができる。

19 誤り 都道府県知事は、その登録を受けている宅建士が不正の手段により宅建士証の交付を受けた場合においては、当該登録を消除しなければならない。ここより、宅建士が不正の手段により宅建士証の交付を受けた場合においては、その登録をしている都道府県知事は、必ず当該宅建士の登録を消除しなければならず、情状が特に重いときに登録を消除することができるというものではない。


20 甲県知事の登録を受けているが宅地建物取引士証の交付を受けていないBが、宅地建物取引士としてすべき事務を行った場合、情状のいかんを問わず、甲県知事はBの登録を消除しなければならない。

20 誤り 都道府県知事は、登録を受けている者で宅建士証の交付を受けていないものが宅建士としてすべき事務を行い、情状が特に重いときは、登録を消除しなければならない。ここから、甲県知事は、情状のいかんを問わず、Bの登録を消除するのではなく、情状が特に重いときに限り登録を消除しなければならない。

聴 聞

21 乙県知事は、宅地建物取引業者21 正しい 都道府県知事は、指示、業務停止又は免許取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、その聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

21 B(乙県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴間を行わなければならず、聴間の期日における審理は、公開により行わなければならない。


22 乙県知事は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴間を行わなければならず、聴間の期日における審理は、公開により行わなければならない。

22 正しい 都道府県知事は、指示、業務停止又は免許取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならず、その聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。


23 国土交通大臣又は都道府県知事は、法66条の規定による免許の取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、当該聴聞は、公開することが相当と認められる場合を除き、公開されない。

23 誤り 国土交通大臣又は都道府県知事は、法66条の規定による免許の取消しの処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならない。そして、聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。公開することが相当と認められる場合を除き、公開されないというものではない。

監督処分の公告等

24 国土交通大臣又は都道府県知事は、法第66条の規定による免許の取消しの処分をしたときはその旨を公告しなければならないが、法第65条第2項の規定による業務の停止の処分をしたときはその旨の公告はしなくともよい。

24 誤り 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅建業法66条の規定による免許の取消しの処分をしたときに限らず、宅建業法65条2項の規定による業務の停止の処分をしたときも、その旨を公告しなければならない。


25 都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。

25 誤り 都道府県知事は、宅建業者に対し業務停止又は免許取消の処分をしたときは、その旨を公告しなければならない。しかし、宅建士に対して登録消除処分を行ったときに公告しなければならないというものではない。

罰 則

26 宅地建物取引業者が販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、拘禁刑若しくは罰金に処せられ、またはこれを併科されることもある。

26 正しい 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質等について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。これに違反すれば、監督処分の対象となるだけでなく、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処せられ、またはこれを併科されることもある。


27 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、事務所の講習の見やすい場所に国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなかった場合、Aは甲県知事から指示処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。

27 誤り  宅建業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。これに違反すれば、50万円以下の罰金に処せられる。よって、罰則の適用を受けることはないとはいえない。宅建業法の規定に違反したことは指示処分事由であるところから、指示処分を受けることはある点は、正しい。


28 宅地建物取引業者D(丁県知事免許)は、法第72条 第1項の規定に基づき、丁県知事から業務について必要な報告を求められたが、これを怠った。この場合、Dは50万円以下の罰金に処せられることがある。

28 正しい 都道府県知事は、当該都道府県の区域内で宅建業を営む者に対して、宅建業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求めることができる。この報告を求められたにもかかわらず報告をしなかった宅建業者は、50万円以下の罰金に処する。


29 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の従業者名簿の作成に当たり、法第48条第3項の規定により記載しなければならない事項についてAの従業者Bが虚偽の記載をした場合、Bは罰則の適用を受けることはあるが、Aは罰則の適用を受けることはない。

29 誤り 従業者名簿に虚偽の記載をした者は、50万円以下の罰金に処せられる。よって、虚偽の記載をしたBは、罰則の適用を受ける。そして、この従業者名簿の虚偽記載についての罰則は、両罰規定であり、従業者が虚偽記載をしたときは、その従業者を罰するほか、その法人も処罰される。よって、Aは罰則の適用を受けることはないとはいえない。

過 料

30 宅地建物取引士が、事務禁止処分を受け、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなかったときは、50万円以下の罰金に処せられることがある。

30 誤り 宅建士が、事務禁止処分を受け、宅建士証をその交付を受けた都道府県知事に速やかに提出しなかったときは、50万円以下の罰金ではなく、10万円以下の過料に処せられることがある。


31 宅地建物取引士(甲県知事登録)が事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引士証を甲県知事に速やかに提出しなければならず、速やかに提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。

31 正しい 宅建士は、事務禁止処分を受けたときは、速やかに、宅建士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。これに違反したときは、10万円以下の過料に処せられる。よって、甲県知事の登録を受けている宅建士が事務禁止処分を受けたときは、宅建士証を甲県知事に速やかに提出しなければならず、速やかに提出しなかったときは10万円以下の過料に処せられることがある。


32 宅地建物取引士は、業務に関して事務禁止処分を受けた場合、速やかに、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならず、これを怠った場合には罰則の適用を受けることがある。

32 正しい 宅建士は、業務に関して事務禁止処分を受けた場合、速やかに、宅建士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。これを怠った場合には、10万円以下の過料の罰則の適用を受けることがある。

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