誇大広告等の禁止
01 宅地建物取引業者が既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示しなければならない。
01 誤り 既存の住宅に関する広告を行うにあたり、建物状況調査を実施しているかどうかを明示する義務はない。
02 宅地建物取引業者が販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、拘禁刑若しくは罰金に処せられ、またはこれを併科されることもある。
02 正しい 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質等について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。これに違反すれば、監督処分の対象となるだけでなく、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金に処せられ、またはこれを併科されることもある。
03 宅地建物取引業者は、宅地の販売広告において、宅地に対する将来の利用の制限について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
03 正しい 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地の将来の利用の制限について、著しく事実に相違する表示をしてはならない。
04 広告をするに当たり、実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないが、誤認させる方法には限定がなく、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。
04 正しい 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の将来の利用の制限について、実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。このとき、誤認させる方法には限定がない。よって、宅地又は建物に係る現在又は将来の利用の制限の一部を表示しないことにより誤認させることも禁止されている。
05 テレビやインターネットを利用して行う広告は、新聞の折込チラシや配布用のチラシと異なり、規制の対象とならない。
05 誤り 宅建業法は、広告の方法を問わず、広告を規制する。よって、テレビやインターネットを利用して行う広告であっても、新聞の折込チラシや配布用のチラシと同様に、規制の対象となる。
06 宅地建物取引業者の業務に関する広告の表示が実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるようなものであっても、誤認による損害が実際に発生していなければ、監督処分の対象とならない。
06 誤り 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在等一定事項について、実際のものよりも著しく優良であり、又は有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。よって、広告の表示が実際のものよりも著しく優良又は有利であると人を誤認させるようなものであれば、誤認による損害が実際に発生していなくても、監督処分の対象となる。
07 宅地建物取引業者Aは、顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告し、実際は他の物件を販売しようとしたが注文がなく、売買が成立しなかった場合であっても、監督処分の対象となる。
07 正しい 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあっせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。売る意思のない物件を広告することは、いわゆる「おとり広告」の一種であり、物件の所在、規模、形質、代金等において著しく事実に相違する広告といえ、宅建業法の規定に違反するものとして監督処分の対象となる。
08 Aが新築住宅の売買に関する広告をインターネットで行った場合、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を行ったが、当該広告について問合せや申込みがなかったときは、法第32条に定める誇大広告等の禁止の規定に違反しない。
08 誤り 住宅の売買に関する広告において、インターネットによるものであっても、実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。このとき、実際のものより著しく優良又は有利であると人を誤認させるような表示を行えば、当該広告について問合せや申込みがなかったとしても、誇大広告等の禁止の規定に違反する。
09 宅地の販売に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約が成立した後も継続して広告を掲載していた場合、当該広告を掲載し続けることは法第32条の規定に違反する。
09 正しい 法32条は、宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地の所在その他一定事項について、著しく事実に相違する表示をしてはならない旨を規定する。ここにいう広告には、インターネットによるものを含む。そして、売買契約が既に成立している宅地について売買の広告をすることは、著しく事実に相違する表示をするものといえる。よって、宅地の販売に関する広告をインターネットで行った場合において、当該宅地の売買契約が成立した後も継続して広告を掲載していた場合、当該広告を掲載し続けることは法第32条の規定に違反する。
広告の開始時期の制限
10 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。宅地建物取引業法の規定に違反する。
10 正しい 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築基準法6条1項の確認(建築確認)があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。売主としての販売広告も、業務に関する広告にあたる。よって、建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築確認を受ける前に売主と明示した当該住宅の広告を行ったことは、宅建業法に違反する。
11 宅地建物取引業者は、宅地の造成工事の完了前においては、当該造成工事に必要とされる許可等の処分があった後であれば、当該宅地の販売に関する広告をすることができる。
11 正しい 宅建業者は、宅地の造成に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる開発許可等の許可があった後でなければ、当該工事に係る宅地の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。よって、宅地の造成工事の完了前であっても、当該造成工事に必要とされる許可等の処分があった後であれば、当該宅地の販売に関する広告をすることができる。
12 宅地建物取引業者が賃貸マンションの貸借に係る媒介の依頼を受け、媒介契約を締結した場合であっても、当該賃貸マンションが建築確認申請中であるときは広告をすることができない。
12 正しい 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認あった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。ここより、賃貸マンションの貸借に係る媒介の媒介契約を締結した宅建業者は、当該賃貸マンションが建築確認申請中であるときは広告をすることができない。
13 宅地建物取引業者Aは、建築基準法第6条第1項の建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Bから当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。宅地建物取引業法の規定に違反する。
13 正しい 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認あった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。建物の貸借の媒介は、宅建業者の業務に当たる。よって、Aは、建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸借の媒介の広告を行ったことは、宅建業法の広告開始時期の制限の規定に違反する。
14 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。宅地建物取引業法の規定に違反する。
14 正しい 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築基準法6条1項の確認(建築確認)があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。貸借の媒介を行う宅建業者が募集広告を行うことは、業務に関する広告にあたる。よって、貸借の媒介を依頼された宅建業者が工事完了前の建物の貸借の募集広告を建築確認前に行ったことは、宅建業法に違反する。
15 宅地建物取引業者は、これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。
15 誤り 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。貸借の媒介に関する広告は、ここにいう売買その他の業務に関する広告に該当する。よって、建築確認申請中の建物については、当該建物の貸借の媒介に関する広告であってもすることができない。
16 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
16 誤り 宅建業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。よって、許可等を申請した後であっても、処分があるまでは、広告をしてはならない。
17 宅地建物取引業者は、建築確認申請中の建物について、建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として当該建物を販売する旨の広告をすることができる。
17 誤り 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。よって、建築確認申請中の建物について、建築確認申請中である旨を表示しても、自ら売主として当該建物を販売する旨の広告をすることはできない。
18 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、建築基準法第6条第1項の確認の申請中である新築の分譲マンションについて「建築確認申請済」と明示した上で広告を行った。当該広告は、建築確認を終えたものと誤認させるものではないため、法第33条の規定に違反するものではない。
18 誤り 宅建業法33条は、「宅建業者は、建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築基準法6条1項の確認があった後でなければ、当該工事に係る建物の売買に関する広告をしてはならない」旨を規定する。ここより、確認の申請中にマンションの売買の広告をすれば、それだけで、つまり「建築確認申請済」と明示し、建築確認を終えたものと誤認させるものではないとしても、33条の規定に違反する。
19 Aが未完成の建売住宅を販売する場合、建築基準法第6条第1項に基づく確認を受けた後、同項の変更の確認の申請書を提出している期間においては、変更の確認を受ける予定であることを表示し、かつ、当初の確認内容を合わせて表示すれば、変更の確認の内容を広告することができる。
19 正しい 当初の確認を受けた後、変更の確認の申請を建築主事に提出している期間、又は提出を予定している場合においては、変更の確認を受ける予定である旨を表示し、かつ、当初の確認の内容も当該広告にあわせて表示すれば、変更の確認の内容を広告しても差し支えない。ここより、未完成の建売住宅を販売する場合、建築確認を受けた後、変更の確認の申請書を提出している期間においては、変更の確認を受ける予定であることを表示し、かつ、当初の確認内容を合わせて表示すれば、変更の確認の内容を広告することができる。
契約締結等の時期の制限
20 宅地建物取引業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結してはならない。
20 誤り 宅建業者は、自己の所有に属しない建物について、自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、貸借の契約を締結することは禁止されていない。よって、宅建業者は、建築工事完了前の賃貸住宅について、借主として貸借の契約を締結することができる。
21 宅地建物取引業者Aは、宅地の貸借の媒介に際し、当該宅地が都市計画法第29条の許可の申請中であることを知りつつ、賃貸借契約を成立させた。宅地建物取引業法の規定に違反しない。
21 正しい 宅地の造成に関する工事の完了前において、宅建業者は、当該工事に関し必要とされる都市計画法の開発許可があった後でなければ、当該工事に係る宅地につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならないが、貸借の媒介又は代理であれば行うことができる。よって、Aは、開発許可の申請中であることを知りつつ、造成に関する工事の完了前の宅地の賃貸借契約を成立させたことは、宅建業法に違反しない。
22 宅地建物取引業者Cは、建築基準法第6条第1項の建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅の貸主Dから当該住宅の貸借の代理を依頼され、代理人として借主Eとの間で当該住宅の賃貸借契約を締結した。宅地建物取引業法の規定に違反する。
22 誤り 宅建業者は、建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる建築確認あった後でなければ、当該工事に係る建物につき、自ら当事者として、若しくは当事者を代理してその売買若しくは交換の契約を締結し、又はその売買若しくは交換の媒介をしてはならない。ここにおいて、貸借の代理又は媒介を行うことは、禁止されていない。よって、Cが建築確認の済んでいない建築工事完了前の賃貸住宅について代理人として賃貸借契約を締結したことは、宅建業法の契約締結等の時期の制限の規定に違反しない。
秘密を守る義務
23 宅地建物取引業者は、いかなる理由があっても、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
23 誤り 宅建業者は、正当な理由がある場合であれば、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らすことができる。よって、いかなる理由があっても、他に漏らしてはならないというものではない。
24 宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を営まなくなった後は、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしても、法に違反しない。
24 誤り 宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅建業を営まなくなった後であっても、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。よって、漏らせば、宅建業法に違反する。
25 宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならないと法に定められている。
25 正しい 宅建業法75条の3は、「宅建業者の使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、宅建業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない」と規定している。
26 宅地建物取引業者は、裁判の証人として、その取り扱った宅地建物取引に関して証言を求められた場合、秘密に係る事項を証言することができる。
26 正しい 宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。裁判の証人として、その取り扱った宅地建物取引に関して証言を求められた場合は、正当な理由がある場合にあたり、秘密に係る事項を証言することができる。
27 宅地建物取引業者は、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密に関し、税務署の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたときであっても、回答してはならない。
27 誤り 宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。ただ、税務署の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたときは、正当な理由がある場合として、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密に関し、回答することができる。
28 宅地建物取引業者は、調査の結果判明した法第35条第1項各号に掲げる事項であっても、売主が秘密にすることを希望した場合は、買主に対して説明しなくてもよい。
28 誤り 宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。一方、宅建業法35条1項各号に掲げる事項、すなわち重要事項については、宅建業法上説明すべき義務がある。よって、宅建業法35条1項各号に掲げる事項であれば、それにつき売主が秘密にすることを希望し、秘密にあたるとしても、これを重要事項として買主に説明しなければならず、説明しても正当な理由がある場合として守秘義務に違反するものではない。
29 宅地建物取引業者は、依頼者本人の承諾があった場合でも、秘密を他に漏らしてはならない。
29 誤り 宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。依頼者本人の承諾があった場合は、正当な理由がある場合といえる。また、承諾があった事項は、そもそも秘密ではなくなるともいえる。よって、依頼者本人の承諾があった場合は、漏らしても守秘義務に違反することはない。
事実不告知等の禁止
30 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買の契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げた場合であっても、契約が成立したときに宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に当該事項を正確に記載すればよい。
30 誤り 宅建業者は、宅地又は建物の売買の契約の締結について勧誘をするに際し、37条書面の記載事項である宅地又は建物の引渡しの時期について故意に不実のことを告げる行為をしてはならない。不実のことを告げても、契約が成立したときに37条書面に当該事項を正確に記載すればよいというものではない。
31 宅地建物取引業者Aの従業員Eは、Fが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をFに対して行った際に、不実のことと認識しながら「今後5年以内にこの一帯は再開発されるので、急いで売却した方がよい。」と説明した。宅地建物取引業法に違反する。
31 正しい 宅建業者は、建物の売買の契約の締結について勧誘をするに際し、建物の将来の利用の制限であって、相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものについて、故意に不実のことを告げる行為をしてはならない。Aの従業員Eが戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘を行った際に、不実のことと認識しながら「今後5年以内にこの一帯は再開発されるので、急いで売却した方がよい。」と説明したことは、宅建業者Aが売買契約の勧誘をするに際し、建物の将来の利用の制限であって、相手方等の判断に重要な影響を及ぼすこととなるものについて、故意に不実のことを告げる行為をしたものといえ、Aは宅建業法の規定に違反する。
32 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、売買取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴ういわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていなければ、宅地建物取引業者は、原則として買主に対してこれを告げなくてもよい。
32 正しい 宅建業者は、売買の対象である建物において発生した自然死や日常生活の中で生じた不慮の事故による死については、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われた場合であれば、買主に対して当該死を告げなければならない。ここから、売買取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、過去に人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴ういわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が行われていなければ、宅建業者は、原則として買主に対してこれを告げなくてもよい。
33 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、賃貸借取引の対象となる居住用不動産において、自然死や日常生活の中での不慮の死が発生した場合であっても、特段の事情がない限り、当該死が発覚してから概ね3年を経過した後は、宅地建物取引業者は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい。
33 正しい 賃貸借取引の対象不動産における自然死や日常生活の中での不慮の死以外の死については借主に告げる必要があるが、当該死が発生して概ね3年を経過した後は、原則として、つまり特段の事情がない限り、借主に告げる必要はない。
不当に高額な報酬の要求禁止
34 宅地建物取引業者(消費税課税事業者)は、その業務に関し、相手方に不当に高額の報酬を要求した場合、たとえ受領していなくても宅地建物取引業法違反となる。
34 正しい 宅建業者は、不当に高額の報酬を要求する行為をしてはならない。よって、相手方に不当に高額の報酬を要求すれば、たとえ受領していなくても宅建業法違反となる。
手付貸与等による契約締結誘引の禁止
35 宅地建物取引業者がマンションの販売に際して、買主が手付として必要な額を持ち合わせていなかったため、手付を分割受領することにより、契約の締結を誘引した。宅地建物取引業法の規定に違反する。
35 正しい 宅建業者は、その業務に関して、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。手付を分割受領することは、手付についての信用の供与にあたる。よって、宅建業者がマンションの販売に際して、手付を分割受領することにより、契約の締結を誘引すれば、宅建業法に違反する。
36 宅地建物取引業者Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。宅地建物取引業法の規定に違反する。
36 正しい 宅建業者は、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引してはならない。売買契約を締結するに際して手付金の分割払いを買主に提案したことは、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引したものといえ、宅建業法に違反する。
37 宅地建物取引業者は、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引してはならない。
37 誤り 宅建業者は、その業務に関して、相手方等に対し、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。しかし、建物の売買に際し、買主に対して売買代金の貸借のあっせんをすることにより、契約の締結を誘引することは禁止されていない。
38 宅地建物取引業者は、勧誘の相手方が金銭的に不安であることを述べたため、売買代金の額を引き下げて、契約の締結を勧誘したとしても、法に違反しない。
38 正しい 宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、売買代金の額を引き下げることは禁止されていない。よって、売買代金の額を引き下げて、契約の締結を勧誘したとしても、宅建業法に違反しない。
39 宅地建物取引業者は、契約の相手方に対して資金不足を理由に手付の貸付けを行ったが、契約締結後償還された場合は法に違反しない。
39 誤り 宅建業者は、その業務に関して、手付について貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為をしてはならない。よって、手付の貸付けを行えば、契約締結後償還された場合であっても宅建業法に違反する。
将来利益の断定的判断の提供の禁止
40 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方(宅地建物取引業者ではない)に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
40 正しい 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
41 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
41 正しい 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅建業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
その他相手方等の保護に欠ける行為の禁止
42 宅地建物取引業者は、契約の締結の勧誘をするに際し、理由の如何を問わず、相手方に対して当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならない。
42 誤り 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならない。よって、理由の如何を問わず、相手方に対して当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならないとはいえない。
43 宅地の売買に際して、相手方が「契約の締結をするかどうか明日まで考えさせてほしい」と申し出たのに対し、宅地建物取引業者が、事実を歪めて「明日では契約締結できなくなるので、今日しか待てない」と告げた。宅地建物取引業法の規定に違反する。
43 正しい 宅建業者は、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んではならない。宅建業者が「契約の締結をするかどうか明日まで考えさせてほしい」と申出に対し、事実を歪めて「明日では契約締結できなくなるので、今日しか待てない」と告げたことは、正当な理由なく、契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒んだものといえ、宅建業法に違反する。
44 宅地建物取引業者がマンション販売の勧誘を電話で行った際に、勧誘に先立って電話口で宅地建物取引業者の商号又は名称を名乗らずに勧誘を行った。宅地建物取引業法の規定に違反する。
44 正しい 宅建業者は、契約締結の勧誘に先立って宅建業者の商号又は名称及び当該勧誘を行う者の氏名並びに当該契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行ってはならない。よって、宅建業者がマンション販売の勧誘に先立って宅建業者の商号又は名称を名乗らずに勧誘を行えば、宅建業法に違反する。
45 宅地建物取引業者Aはアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに個人宅を訪問し、マンションの売買の勧誘をした。宅地建物取引業法の規定に違反する。
45 正しい 宅建業者は、勧誘に先立って契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行ってはならない。ここより、Aがアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずにマンションの売買の勧誘をしたことは、宅建業法に違反する。
46 宅地建物取引業者が、マンション販売の勧誘をするに際し、相手方から購入を希望しない旨の返事があった後に、当該勧誘を継続することは法に違反しない。
46 誤り 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、相手方等が当該契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続してはならない。よって、相手方から購入を希望しない旨の返事があった後に、当該勧誘を継続することは宅建業法に違反する。
47 宅地建物取引業者Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。宅地建物取引業法に違反する。
47 正しい 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅建業者の相手方等に対し、当該相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続してはならない。Aの従業員BがCから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたにもかかわらず、後日、Aが別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続したき、宅建業者Aは相手方等が当該契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続したものといえ、宅建業法の規定に違反する。
48 宅地建物取引業者Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。宅地建物取引業法に違反する。
48 正しい 宅建業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、迷惑を覚えさせるような時間に電話してはならず、また深夜の勧誘その他の私生活の平穏を害するような方法によりその者を困惑させてはならない。Aの従業員Gが戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させたことは、宅建業者AがHに迷惑を覚えさせるような時間に電話し、また深夜の勧誘その他の私生活の平穏を害するような方法によりHを困惑させたものといえ、Aは宅建業法の規定に違反する。
49 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介に際して、賃貸借契約の申込みをした者がその撤回を申し出たが、物件案内等に経費がかかったため、預り金を返還しなかった。宅地建物取引業法の規定に違反する。
49 正しい 宅建業者は、相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒んではならない。ここから、宅建業者が賃貸借契約の申込みをした者がその撤回を申し出たとき、物件案内等に経費がかかったとして預り金を返還しなかったことは、宅建業法に違反する。
50 建物の貸借の媒介に際して、賃借の申込みをした者がその撤回を申し出たので、宅地建物取引業者Aはかかった諸費用を差し引いて預り金を返還した。宅地建物取引業法の規定に違反する。
50 正しい 宅建業者の相手方等が契約の申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒んではならない。かかった諸費用を差し引いて預り金を返還することは、既に受領した預り金を返還することを拒むものといえ、宅建業法に違反する。
宅建業の業務に関し行った行為の取消しの制限
51 成年である宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の業務に関し行った行為について、行為能力の制限を理由に取り消すことができる。
51 誤り 宅建業者は、(個人に限り、未成年者を除く)が宅建業の業務に関し行った行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。よって、成年である宅建業者は、宅建業の業務に関し行った行為について、行為能力の制限を理由に取り消すことはできない。