免許の基準(免許欠格要件)
35 免許を受けようとする個人Bが破産手続開始の決定を受けた後に復権を得た場合においても、Bは免許を受けることができない。
35 誤り 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者は免許を受けることができない。しかし、復権を得れば、他の免許欠格要件に該当しない限り、免許を受けることができる。よって、復権を得た場合においても、Bは免許を受けることができないとはいえない。
36 個人Aが不正の手段により免許を受けた後、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過した場合、その間に免許を受けることができない事由に該当することがなかったとしても、Aは再び免許を受けることはできない。
36 誤り 不正の手段により免許を受けたとして免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者は免許を受けることができない。しかし、取消しの日から5年を経過すれば、他の免許欠格要件に該当しない限り、Aは再び免許を受けることができる。
37 宅地建物取引業者が、免許を受けてから1年以内に事業を開始せず免許が取り消され、その後5年を経過していない場合は、免許を受けることができない。
37 誤り 一定の免許取消事由に該当することにより免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者は、免許を受けることができない。免許を受けてから1年以内に事業を開始しなかったという免許取消事由は、ここにいう一定の免許取消事由に該当しない。よって、免許を受けてから1年以内に事業を開始せず免許が取り消された後5年を経過していないことを理由に免許を拒否されることはない。
38 免許を受けようとするE社の取締役について、破産手続開始の決定があった場合、復権を得た日から5年を経過しなければ、E社は免許を受けることができない。
38 誤り 法人でその役員が破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当するときは、当該法人は免許を受けることができない。E社の取締役につき破産手続開始の決定があっても、復権を得れば、その日から直ちに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者ではなくなる。よって、E社は、その取締役が復権を得た日から5年を経過しなければ免許を受けることができないというものではない。
39 宅地建物取引業の免許を受けようとする法人の代表取締役が、刑法第231条(侮辱)の罪により拘留の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。
39 誤り 代表取締役は、法人の役員といえる。役員が拘禁刑刑又は一定の犯罪により罰金刑に処せられ免許欠格者である法人は、免許を受けることができない。ただ、拘留の刑に処せられた者は、免許欠格者に当たらない。よって、代表取締役が拘留の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していないということで、当該法人が免許を受けることができないということはない。
40 免許を受けようとするE社の役員に、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者がいる場合、その刑の執行が終わって5年を経過しなければ、E社は免許を受けることができない。
40 正しい 法人でその役員のうちに宅建業法に違反して罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過しない者のあるときは、当該法人は免許を受けることができない。ここから、E社の役員に、宅建業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者がいる場合、その刑の執行が終わって5年を経過しなければ、E社は免許を受けることができない。
41 免許を受けようとするA社の取締役が刑法第204条(傷害)の罪により拘禁刑1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を満了し、その日から5年を経過しなければ、A社は免許を受けることができない。
41 誤り 法人でその役員が拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者に該当するときは、当該法人は免許を受けることができない。A社の役員である取締役は執行猶予付きの拘禁刑の判決を受けているが、執行猶予の言渡しを取り消されることなく執行猶予期間が満了すれば、拘禁刑の判決を受けなかったこと、つまり拘禁刑以上の刑に処せられたことがないことになる。よって、取締役の執行猶予期間が満了した時点でA社には拘禁刑以上の刑に処せられた役員はいないことになり、当該猶予期間が満了した日から5年を経過しなければ、A社は免許を受けることができないというものではない。
42 免許を受けようとするC社の役員Dが刑法第211条(業務上過失致死傷等)の罪により地方裁判所で拘禁刑1年の判決を言い渡された場合、当該判決に対してDが高等裁判所に控訴し裁判が係属中であっても、C社は免許を受けることができない。
42 誤り その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は、免許を受けることができない。法人の役員がこの免許の基準に該当するときは、当該法人は免許を受けることができない。ただ、上訴中で判決が確定していなければ、拘禁刑以上の刑に処せられたとはいえず、免許欠格に至っていない。よって、C社の役員Dが拘禁刑1年の判決を言い渡され、高等裁判所に控訴し裁判が係属中であれば、Dは免許欠格者に該当せず、Dが役員であることを理由にC社は免許を受けることができないというものではない。
43 宅地建物取引業の免許を受けようとする法人の非常勤役員が、刑法第246条(詐欺)の罪により拘禁刑1年の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる。
43 誤り 法人で、常勤又は非常勤の役員が拘禁刑に処せられ、その執行を終わって5年を経過していない免許欠格者であるとき、当該法人は免許を受けることができない。
44 宅地建物取引業の免許を受けようとする法人の事務所に置く専任の宅地建物取引士が、刑法第261条(器物損壊等)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。
44 誤り 法人の事務所に設置されている専任の宅建士が免許欠格者であることを理由に当該法人の免許が拒否されることはない。よって、法人は、事務所に置く専任の宅建士が器物損壊等の罪により罰金の刑に処せられていることを理由に免許を拒否されることはない。もっとも、 器物損壊等の罪により罰金の刑に処せられても、そもそも免許欠格とならない。
45 免許を受けようとしている法人の政令で定める使用人が、破産手続開始の決定を受け、復権を得てから5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。
45 誤り 法人でその政令で定める使用人のうちに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者のあるものは、免許を受けることができない。ただ、破産手続開始の決定を受けて復権を得た者は、復権を得たときから5年を経過していなくても、復権を得ない者にあたらない。よって、法人は、その政令で定める使用人が復権を得たときから5年を経過していないことを理由に免許を拒否されることはない。
46 宅地建物取引業の免許を受けようとする法人の政令で定める使用人が、刑法第252条(横領)の罪により拘禁刑1年執行猶予 2年の刑に処せられ、その刑の執行猶予期間を満了している場合、その満了の日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる。
46 正しい 法人で、政令で定める使用人が拘禁刑に処せられ、その執行を終わって5年を経過していない免許欠格者であるとき、当該法人は免許を受けることができない。ただ、執行猶予が付いた拘禁刑の判決を受けても、当該執行猶予期間が満了したときは、直ちに免許欠格者ではなくなる。よって、免許を受けようとする法人の政令で定める使用人が、執行猶予付き拘禁刑の判決を受け、その執行猶予期間を満了している場合、その満了の日から5年を経過していなくても、当該法人は免許を受けることができる。
免許証
47 宅地建物取引業者は、主たる事務所については、免許証、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う。
47 誤り 主たる事務所に免許証を掲示する義務はない。主たる事務所に、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う点は、正しい。
免許の条件
48 免許権者は、免許に条件を付することができ、免許の更新に当たっても条件を付することができる。
48 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許(免許の更新を含む。)に条件を付し、及びこれを変更することができる。
49 宅地建物取引業者E(丙県知事免許)の免許の更新に当たって、丙県知事は宅地建物取引業法第3条の2に基づき条件を付すことができ、Eが免許の更新に当たって付された条件に違反したときは、丙県知事はEの免許を取り消すことができる。
49 正しい 国土交通大臣又は都道府県知事は、免許の更新に条件を付すことができる。国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅建業者が免許の更新に付された条件に違反したときは、当該宅建業者の免許を取り消すことができる。
免許換え
50 宅地建物取引業者E(乙県知事免許)は、乙県内に2以上の事務所を設置してその事業を営もうとする場合には、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
50 誤り 都道府県知事の免許を受けた者が2以上の都道府県の区域内に事務所を有することとなったときは、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。乙県知事免許を受けたEは、乙県内に2以上の事務所を設置したものであり、2以上の都道府県の区域内に事務所を有することとなっておらず、国土交通大臣に免許換えを申請する必要はない。
51 宅地建物取引業者(甲県知事免許)は、乙県内で一団の建物の分譲を行う案内所を設置し、当該案内所において建物の売買の契約を締結し、又は契約の申込みを受ける場合、国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
51 誤り 都道府県知事の免許を受けた者が2以上の都道府県の区域内に事務所を有することとなったときに、国土交通大臣に免許換えの申請が必要となる。宅建業者(甲県知事免許)は、乙県内に事務所ではなく案内所を設置するのであれば、2以上の都道府県の区域内に事務所を有することにはならないので、国土交通大臣に免許換えの申請を行う必要はない。
52 宅地建物取引業者(甲県知事免許)が、乙県内に新たに事務所を設置して宅地建物取引業を営むため、国土交通大臣に免許換えの申請を行い、その免許を受けたときは、国土交通大臣から、免許換え前の免許(甲県知事)の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする免許証の交付を受けることとなる。
52 誤り 免許換えにより受けた免許の有効期間は、一般の免許の有効期間同様、5年間である。よって、免許換え前の免許(甲県知事)の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする免許証の交付を受けることとなるものではない。
53 宅地建物取引業者C(乙県知事免許)が国土交通大臣に免許換えの申請を行っているときは、Cは、取引の相手方に対し、重要事項説明書及び宅地建物取引業第37条の規定により交付すべき書面を交付することができない。
53 誤り 免許換えの申請中に業務を行うことができない旨の規定はない。よって、Cは、免許換えの申請を行っているときであっても、重要事項説明書及び37条書面を交付することができる。
宅建業者名簿登載事項等の変更の届出
54 宅地建物取引業者は、事務所に置く唯一の専任の宅地建物取引士が退任した場合、その日から30日以内に新たな専任の宅地建物取引士を設置し、その設置の日から2週間以内に、専任の宅地建物取引士の変更があった旨を記載した届出書を免許権者に提出しなければならない。
54 誤り 宅建業者は、事務所に置く唯一の専任の宅建士が退任した場合、その日から30日以内ではなく、2週間以内に、新たな専任の宅建士を設置しなければならない。そして、事務所ごとに置かれる専任の宅建士の氏名に変更があったときは、30日以内に、その旨を記載した届出書を免許権者に提出しなければならない。
55 宅地建物取引士の氏名等が登録されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていない。一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるものの、そこに専任の宅地建物取引士は登載されない。
55 正しい 宅建士資格登録簿には、宅建士の氏名等が登録される。ただ、この登録簿は、一般の閲覧に供されない。一方、宅建業者名簿は、一般の閲覧に供される。ただ、宅建業者名簿には、事務所に置かれる専任の宅建士の氏名は登載されない。
56 宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、本店における専任の宅地建物取引士Eの退職に伴い、新たに専任の宅地建物取引士Fを本店に置いた場合、Dはその日から30日以内にその旨を記載した届出書を丙県知事に提出しなければならない。
56 正しい 宅建業者は、事務所ごとに置かれる専任の宅建士の氏名について変更があった場合においては、30日以内に、その旨を記載した書面をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。よって、D(丙県知事免許)が、本店における専任の宅建士Eの退職に伴い、新たに専任の宅建士Fを本店に置いた場合、Dはその日から30日以内にその旨を記載した書面を丙県知事に提出しなければならない。
57 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、新たに宅地建物取引業を営む支店を甲県内に設置した場合、Aはその日から30日以内にその旨を記載した届出書を甲県知事に提出しなければならない。
57 正しい 宅建業者は、事務所の名称及び所在地について変更があった場合においては、30日以内に、その旨を記載した届出書をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。新たに宅建業を営む支店を設置は、ここにいう事務所の名称及び所在地の変更にあたる。よって、A(甲県知事免許)が、新たに宅建業を営む支店を甲県内に設置した場合、Aはその日から30日以内にその旨を記載した届出書を甲県知事に提出しなければならない。
58 宅地建物取引業者の役員の住所に変更があったときは、30日以内に免許権者にその旨を記載した届出書を提出しなければならない。
58 誤り 宅建業者は、役員の氏名ついて変更があった場合においては、30日以内に、その旨を記載した届出書をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。しかし、役員の住所に変更があっても、その旨を記載した届出書を提出する必要はない。
59 宅地建物取引士の氏名等が登録されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていない。一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるものの、そこに専任の宅地建物取引士は登載されない。
59 正しい 宅建士資格登録簿には、宅建士の氏名等が登録される。ただ、この登録簿は、一般の閲覧に供されない。一方、宅建業者名簿は、一般の閲覧に供される。ただ、宅建業者名簿には、事務所に置かれる専任の宅建士の氏名は登載されない。
廃業等の届出
60 法人である宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。
60 正しい 法人が合併により消滅した場合、その法人を代表する役員であった者が、合併があった日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。よって、法人であるBが合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。
61 宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が、宅地建物取引業者ではないCとの合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内にその旨を乙県知事に届け出なければならない。
61 正しい 法人である宅建業者が合併により消滅した場合、その法人を代表する役員であった者は、その日から30以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。よって、B(乙県知事免許)が、Cとの合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内にその旨を乙県知事に届け出なければならない。
62 宅地建物取引業者D社について破産手続開始の決定があった場合、D社を代表する役員は廃業を届け出なければならない。また、廃業が届け出られた日にかかわらず、破産手続開始の決定の日をもって免許の効力が失われる。
62 誤り 宅建業者について破産手続開始の決定があった場合、その破産管財人はその旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。届出をするのは破産管財人であって、D社を代表する役員ではない。また、破産開始の手続の決定があった旨を届け出るのであり、廃業を届け出るのではない。さらに、D社の免許の効力が失われるのは、破産手続開始の決定の日ではなく、破産手続開始の決定があった旨が届け出られた日である。
63 法人である宅地建物取引業者A(甲県知事免許)について破産手続開始の決定があった場合、その日から30日以内に、Aを代表する役員Bは、その旨を、甲県知事に届け出なければならない。
63 誤り 宅建業者について破産手続開始の決定があつた場合、その破産管財人は、その日から30日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。よって、Aについて破産手続開始の決定があった場合、Aを代表する役員Bではなく、破産管財人が、その旨を、甲県知事に届け出なければならない。
64 個人である宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が死亡した場合、Aの相続人は、Aの死亡の日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
64 誤り 宅建業者が死亡した場合、その相続人が、その事実を知った日から30日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。よって、Aが死亡した場合、Aの相続人は、Aの死亡の日からではなく、死亡を知った日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
65 宅地建物取引業者D社について破産手続開始の決定があった場合、D社を代表する役員は廃業を届け出なければならない。また、廃業が届け出られた日にかかわらず、破産手続開始の決定の日をもって免許の効力が失われる。
65 誤り 宅建業者について破産手続開始の決定があった場合、その破産管財人はその旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。届出をするのは破産管財人であって、D社を代表する役員ではない。また、破産開始の手続の決定があった旨を届け出るのであり、廃業を届け出るのではない。さらに、D社の免許の効力が失われるのは、破産手続開始の決定の日ではなく、破産手続開始の決定があった旨が届け出られた日である。
免許証の返納
66 宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、免許の更新を怠り、その有効期間が満了した場合、Dは、遅滞なく、丙県知事に免許証を返納しなければならない。
66 誤り 免許証の返納は、①免許換えにより新たな免許を受け、従前の免許がその効力を失ったとき、 ②監督処分として免許が取り消されたとき、③亡失した免許証を発見したとき、④廃業等の届出をするときである。有効期間の満了により失効した免許証は、返納する必要がない。